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仏像を模したスイーツについて 令和日本の「カワイイ無罪」

こんな記事を見かけた。

「大道廃れて仁義あり」ならぬ「信心廃れてカワイイあり」な現代日本を象徴するスイーツ……。そもそも合掌は如来像の印相として変で、アジアで見かける無知な欧米観光客向け土産の定番意匠。ただし、日本には法華経見宝塔品に従い釈迦如来が合掌してる作例(谷中天王寺など)も多くあったりする。

もちろん、昔からこういうの(地蔵せんべい)もあるっちゃあるんだけど、バカ欧米人目線を内面化したブッダ・スイーツを忌避する位のプライドは保って生きたいものだと思う。

さらにこんな記事も読んだ。

食う(空)に事を欠いて……。令和ニッポソの「カワイイ無罪」には際限が無いのだろうか?

こういうのを観て腹が立つとか怒りが沸くとかはないけど、「うわっ……無知って怖いな。くわばらくわばら」という気持ちになることは否めない。迎合的に報ぜざるをえない(カワイイ無罪という流行に逆らえない)伝統仏教業界の人たちもちょっと気の毒ではある。

日本の伝統芸術として確立された華道にしても、そもそもは仏尊への花供養から発展していったものだろう。和菓子の洗練もまたおそらく仏教の供養儀式と密接に関わってきたと推察する。仏頭を「カワイク」デザインした土産菓子は、そのような文脈から随分かけ離れている気がする。

歴史や伝統と切断され、ただ眼の前に「モノ」としてある仏像を「カワイイ」基準で情報処理して菓子(スイーツ)として売り出す。もちろん前例はあるので抵抗感も生まれない。仏教を伝持する業界の人々も、流行に棹さす経済的効用と伝統に根ざした良識と天秤にかけて沈黙せざるを得ない。なんともお寒い時代ではないか。

(Twitterのつぶやきをもとにまとめました。)

~生きとし生けるものが幸せでありますように~

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佐藤哲朗(nāgita)
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