「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」を観に行きました。
どうせなら行きましょう。
公開前から映画関連のSNS等で話題沸騰(だったはず)の本作。
試写や東京国際映画祭での上映でも絶賛を浴びせるお客さんが多く、そうした声が絶えないので他の公開待機作と比べるとかなり熱量を高く保ったまま公開に至った感じがしている。
私も今回劇場に足を運んだが、昼頃の回で客席が結構埋まっていて、期待値の高さを感じさせた。
正式公開後の週末でも改めて観た人、今回初鑑賞した人のテンションはSNSや感想サイト他でも高く、この熱気はしばらく冷めそうにないだろう。
もうここまで書いて本作が高評価を受けるに適した映画であることは分かっただろうし、行こうかどうか迷っていて感想記事をリサーチしている人が偶々この記事を見つけたのなら、本記事が言えることは、"行くと良いと思います"ぐらいである。
また、公開からしばらく経って配信で観るかいっそソフトを買ってしまおうかと考えている人がこれを見たのなら、"観ましょう"という言葉を贈るし、ソフトを買うにあたってBlu-rayかDVDか(そもそもDVD版が出るのか不明だが)で迷っているのなら、財布に余裕があるのならBlu-rayが良いかもしれない。
現代に蘇った九龍城砦
というのも本作はかつて香港に実在した巨大建築"九龍城砦"を舞台にした活劇映画であり、この建築自体が映画の中でのもう一つの主人公だからである。
「かつて〜」と書いた通り、九龍城砦自体は既に取り壊された(現在は公園になっている)。それを今回様々な資料などを素に再現したのだ。
その力の入れようったらこれ以上なく、人々が建物の中で働き日常を過ごす姿を通して画面中に雑多な情報量に満ちた九龍城砦を目にすることが出来る。画面の隅々まで見渡したくなるほどの巨大セットの制作秘話は劇場で販売中のブックレットに載っているので、それを読むのも良し。
だからそんなセットをしっかり観るなら、なるべく画質の良いと思しきBDを推した訳だ。
そもそも劇場の巨大スクリーンで観て欲しいという気持ちが強いのだが。
アクション映画としての戦う理由
本作はアクション映画だ。戦うには動機づけが必要だ。その戦う理由が、将来壊されることが分かっている場所である九龍城砦と強く結びついている。
時は中英の協議によって香港がイギリスから返還される直前の時代。多数の移民が流入し無国籍地帯となっている九龍城砦の始末をどうするかという話が行われており、そこに住む人々もまたここがいつか無くなってしまうことを何となく察している。
そんな九龍城砦の利権に群がる悪党、過去の因縁に囚われたある男の物語と、様々な思惑が九龍城砦に集結する。
そうした中、九龍城砦に住む若者達の姿が眩しい。
この場所、この生活、この人々との関係性はやがて消えてなくなる。
しかし、残るものだってあるかもしれない。
その為に戦っても良いではないか?
人情とノスタルジーが観客の情緒を刺激し、大活劇によって血液を沸騰させる。
そんな映画に仕上がっていた。
まとめ
125分でしっかり纏めあげたのは好感が持てる。
なかなか扇情的に書いてしまったが、そうしたくなるほどのパワーを持った作品だったということだ。
個人的にはアクションばかりだったらどうしようかと思ったが、滅びゆくことへの悟りの美学、卓ありきの友情が静謐さをもって描かれていたので、加点気味で鑑賞した。
コミック調なキャラクターの身体能力には少々驚いたが、そこは許容しつつ楽しんだ。
アクション監督が「るろうに剣心」でもアクションを担当した谷垣健治氏なのだが、「るろうに剣心」3作目の志々雄vs剣心たちの一対多のラストバトルのアップデート版が観られたのも嬉しい。
不満をいうならもう少し暗い部分を描いても良かった気がする。メインとなる男4人の関係を描くのに使われてしまったようなエピソードがあり(観たらすぐ分かる)、そこは意見が分かれそうに思う。
注目作なのでおすすめです。