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[ONE CHILD NATION] 一人っ子政策とジェンダー

※映画のコンテンツに触れているため、真っ白な状態で映画を観たい方にはこちらの投稿読むことおすすめしません。

こんにちは!ナッツです。

昨日呑み会でなんでジェンダー学の専門家になりたいのかと質問攻めにあい、うまく言語化できなくて感情的になってしまったので(こどもと同じ現象)自分の考えとか少しずつでいいから言語化していきたいな〜なんて思っています。

さて、今日はリプロダクティグライツと女性の人権について考えさせられる映画 "ONE CHILD NATION (一人っ子の国)」をようやく観ることができました。

中国の一人っ子政策について初めて学んだのは大学院時代。授業でかなり衝撃の強い "The Dying Rooms" を観て次の授業に集中できないぐらい気持ちが沈み、怒っていたことを覚えています。

まぁ、ある意味その授業でかなり抗体ができてしまったせいか、今回One Child Nationは冷静に観てしまいました。私の感想としてはThe Dying Roomsと比べれば衝撃はある程度抑えられているものの、赤ん坊の死体などを出てくるのでそれなりにしんどい部分はしんどいです。

【中国の一人っ子政策について】

1979年に一人っ子政策が中国で紹介され、1982円には憲法に記載され、5年前の2015年に廃止されました。当時中国では人口危機により飢餓などが心配され踏み切った政策だと映画では紹介されています。

確か地域によっては二人目を産んでもよかったり、お金を払えば二人目を産んでよかったりなどありましたが、原則一家族につき子どもは一人という政策でした。

【One Child Nation 監督のナンフー・ワン】

中国生まれの監督、ナンフー・ワンとジアリン・チャンが人々の体験を通して、一人っ子政策について描いているドキュメンタリー映画で、ナンフー・ワンさんがナレーションもしてくれています。彼女自身は一人っ子政策中に産まれ、彼女の地域では二人目の子どもが許されるケースもあったようで5歳離れた弟がいます。

ドキュメンタリーでは彼女自身が産まれた地域で、まずは家族や地域の人に当時についてインタビューをし、彼らの知っていることや、感情を引き出していきますが彼女自信も「当事者」であるからこそ成り立っている映画という印象を受けました。

【一人っ子政策中起きた被害】

さて、映画では一人っ子政策中に実際何が現場で起きていたのかを暴いていきますが、

①女性のリプロダクティブ・ライツ

②女性の人権

について私は書きたいと思います。

一人っ子政策時は強制不妊に追い込まれ、一人子どもを産んだあと無理やり手術をさせられた女性が多くいたそうです。または、大勢の女性が望まない中絶をさせられていたこともドキュメンタリーでは描かれています。

女性の体の自由が守られず、国によって制限される、まさにBody Policy and Gender Justiceです。ここで気づいておきたいポイントとしては「強制不妊の対象が女性であった」ということだと私は思います。強制不妊がいいとは思っていませんが、別に女性(妻)ではなく男性(夫)の方でもよかったわけです。それでも女性が必ず対象になるというところに男女間のパワーバンランスの不均等感を感じられますよね。

加えて、一人っ子政策時に多くの女の赤ちゃんが殺されたり、放置されたりました。なぜならば伝統的に男性が家の名前を引き継ぎ、女性は「嫁いで」いたから。つまり一人っ子政策の中女の子が産まれてしまった場合、いずれどこかへ「嫁いで」しまい富が完全に他の家族のところへ行ってしまうということ。富を家で守るためには嫁がない「男の子」が必要であり、女の子を欲しがらない家庭が多く存在した結果女の子が産まれても放置されるなどの現象が起き、そのまま死んでしまう場合もあれば、人身売買の被害につながることもあったようです。

【私の感想】

大学院で勉強した時は学術的でしたのでとてもドライで、「なんてことが起きてしまったんだ、、、」と悲しくなりました。それは、今回One Child Nationを観ても思いましたが、ただ、学術論文や学術的映像とは違い、このドキュメンタリーでは当時を生きていた人の生の声が入っていたことで新たな視点を得られたようにも思います。

強制不妊や中絶に関わった人、子どもを置き去りにした親、国の役人など様々な関係者が出てきますが「仕方なかった、、、」という無力感が映画では伝わってきて一概に「なんでこんな政策に抵抗しなかったんだ!」とは言えなくなりました。

大きな社会構造の中で生きている一人一人の人間が無力に感じてしまうほどの大きな力に私たちは時にどう対抗したいいのか、考えさせられるドキュメンタリー映画です。

是非Amazonで観てください。

ナッツ。

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