映画「落下の解剖学」感想(★★★★☆)
※ネタバレに配慮していません。
SNSで時々見かけて気になっていた本作がアマプラに来ていたので視聴しました。
お話としては、主人公の夫が家の高所から落下して死亡し、容疑者は主人公のみ。物的証拠では容疑者が特定できず、証人である夫婦の子供の証言にも曖昧な部分がある。真実は藪の中…といったお話です。
お話の感じとしては、「ザリガニの鳴くところ」に近い感じもありますが、一番大きな差異としては、実際真実がどうだったのかが主題ではないという部分です。
なので、本作はジャンルとしてはミステリーではなく、人間ドラマなのかなと感じました。
私が一番刺さったのは、夫が落下する前日の口論のシーンです。
夫は、子どもの世話や家事などで自分の仕事の時間が取れないから分担してほしいと主張する一方で、妻は「自分で決めてやっていることなのだから嫌ならやめれば」という論調。
これ、恥ずかしいことに思い切り心当たりがあります。
私は主に妻派で、頼んでないのにやって文句言うならやらなくていいよ派なんですが、傍から見るとやっぱりそれじゃダメなんだなぁと分かります。
分かりますが、でも負担も考えずやること増やしちゃったり、許容レベルが高すぎる人もそれはそれで問題なのではとも思ってしまう。
たとえば、トイレ掃除は毎日したいという人とトイレ掃除は1ヶ月に1回でいいという人がいた時に、
どんな場合でも後者が前者に合わせて分担して2日に1回やるべきかと言ったらそうではないと思うんです。
でも前者の人って往々にして後者の人を「だらしない」とか「怠惰」みたいな評価をして、自分の基準を疑おうとしない。
だから後者は「じゃあ勝手にやれば」となってしまうわけですが、前者の人はそれを求めているわけではないという…
ちなみに母親も元旦那もどちらかといえば前者でした。というか、たぶん後者の人間がいるから前者が生まれるし、前者がいるから後者か生まれるんですよね。。
多分どちらかの基準を押し付けようとしているから問題があるのであって、いい塩梅を探さなくちゃいけないんですが、それがとても難しい。
世の上手くやっている夫婦は一体どうやってこの問題をクリアしてるんでしょう。
最終的に夫の死が自殺だったのか他殺だったのか事故だったのかは最後まで不明ですが、個人的には事故であってほしいです。
ダニエル(息子)が言うように、妻側には夫を殺す理由がないように思えます。
まぁ人を殺す理由なんて共感できるはずないですが、かといって自殺というのもなんだかピンと来ないんです。
まぁこちらについても、自殺する人がどういう行動に出るのか私は詳しくないわけですが、、、。
色々と感想などを読みましたが、この映画については下記の解説がとても面白かったです。
私は何でもすぐ事実に基づいて白黒はっきりさせたくなってしまうせっかち人間ですが、
やっぱり人は主観で生きているわけで、事実を生きているわけではないから、そこをもっと重視しないといけないんだな。。。