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ちょい読み 2024/12/31
・ 『ことぱの観察』 向坂くじら 著 (NHK出版 2024)
・ 『ピダハン』 ダニエル・L・エヴェレット 著
(みすず書房 2012)
・ 『ヨーロッパ精神史』 フリードリッヒ・ヘーア 著
小山宙丸 ・ 小西邦夫 訳 (二玄社 1982)
この本はぼくの四十年前のアンチョコだ。
古代キリスト教からフランス革命前後までの知の歴史を扱っているのだが、知の扱い方が高速で澱みなく、時代の文脈を折りたたみ、
そこをトポロジカルに展いていく語り口がよかった。
・ 『鯨と原子炉 ー技術の限界を求めてー』
ラングドン・ウィナー 著
吉岡斉 ・ 若松征男 訳 (紀伊國屋書店 2000)
「人類はしばしば無思慮に技術的手段を使用してきた。
それによって、住みよい地球と良い社会が実現する可能性が、
さまざまな場面において、重大な脅威にさらされている。
われわれが提供する可能性や、技術のもたらす苦境について、
どのように考えるべきなのか。
この本はこうした問いかけについて、いろいろな哲学的視点から、
探求を進めた作品である。
向坂くじらさんの本を読んでいて、単語「くじら」が頭に残ったかな。
思想家・吉本隆明さんは、原子力の弊害問題は、
「原発反対」という判断ではなく、
(その上の)技術力で制御すべきだと言われていたが、
一般人としては賛同出来る話ではない。
この本の主張はどこにあるだろうか。
この本はかなり怖い。
ドキュメンタリーなのだが、原発とプルトニウムの関係の危険や
プルトニウム保有国家の危険を告発しているのではなく、
プルトニウムが人体投与されたことをあからさまに描き出しているからだ。
アメリカ政府が国民をつかって放射能の人体実験をしていたという、
とんでもなくショッキングなレポートなのだ。
(・・・)
ぼくとしては本書を多くの諸君に読んでもらいたいとは思わなかった。
あまりにも“痛い”のだ。
取り上げておいて、推薦をためらうという本はめずらしい。
だが、中身は知らせたい。
生き難い乱世ではありますが、良い年を迎えらえる事、お祈りいたします。