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ちょい読み 2025/ 1/10



・ 『四運動の理論 上』 フーリエ 著(現代思潮社 1970)

シャルル・フーリエ
(1772 - 1837)青春期に革命を体験、
18世紀神秘思想や啓蒙思想を摂取して独自の歴史哲学、人間学、宇宙論、
博物学、心理学、経済学の体系を構想、
1808年『四運動の理論』を発表するが、完全に無視される。

晩年は奇矯極まる予言壁、奔放自在な詩的想像、
大胆無比な恋愛思想によって狂人扱いされ、貧窮のうちに生涯を閉じた。
死後弟子たちによるフーリエリスム運動が起こるが、彼の本領はむしろ、
20世紀シュルレアリスムによって再発見されたと言ってよい。

帯裏

青春期に体験した革命は、フランス革命(1789)。
1808年頃の、本や音楽の世界を眺めてみれば。

1805
・ベートーヴェン曲 [交響曲第3番へ長調(英雄)] オーストリアで初演【独】
1806
・ヘーゲル「精神現象学」完成【独】
1807
・フィヒテ「ドイツ国民に告ぐ」の連続講演(~13)【独】
1808
・シャルル・フーリエ「四運動および一般的運命の理論」【仏】
・ドルトン「化学の新体系」【英】
・ベートーヴェン曲 [交響曲第6番へ長調(田園)] ウィーンで初演【独】
・ゲーテ「ファウスト第1部」刊【独】
1809
・ラマルク「動物哲学」【仏】
・上田秋成「春雨物語」【日】

『情報の歴史』 P. 188 - 189

フーリエは新しい社会の単位を発見したかったのである。
この単位、その後すべての社会組織の単位となったものが多い。
協会、組合、協同組合、労働組合……
これらはみんなフーリエの子供たちだった。

838夜 『四運動の理論』 シャルル・フーリエ − 松岡正剛の千夜千冊



・ 『母権論』 バッハオーフェン 著(みすず書房 1991)

   古代世界の女性支配に関する研究 ー その宗教的および法的本質

が太陽よりも、
受胎する大地が受精する海よりも、
また自然の生におけるの暗闇の方が生成の明るみよりも、
そして死者が生者よりも、
悲しみが喜びよりも優位を占めているのが、
母性優位の世界というはるかなる時代の必然的な特徴である

序論 P. 19


最初に自在で無規律な乱婚的な社会があったにちがいない。
これは「ヘテリズム」と名付けられた。
ヘタイラ(遊女)の社会という意味である。

古代ギリシアではヘタイラは職業的遊女のことではなく、
婚姻することなく多数の男性と交わる女性のことをいう。

なぜヘテリズムがあったかといえば、
原初的な母性の原理がその社会におおらかに通用していたからである。

なぜ原初的な母性が社会に通用したかといえば、
母胎こそが最大の生産の大地であったからである。

女性が産むものは男児であれ女児であれ、
すべてを優先する大地の産物だったのだ。
だから太母グレートマザーのもと、ヘタイラは自由気儘にふるまっていた。

そこには夫も父もいなかったのである。兄弟も息子もいなかったのだ。
ただ"ジェンダーとしての男"がいただけだった。

1026夜 『母権制』 ヨハン・ヤコプ・バハオーフェン − 松岡正剛の千夜千冊