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ちょい読み 2025/ 1/ 5



・ 『塩狩峠』 三浦綾子 著(新潮文庫 1973)

明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして
大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、
人間存在の意味を問う長編小説。

カバー裏

頭の中で、自分の人生をふりかえる状態となり、自分の心の少なさにより、人が離れていったことを思う。そんな私が小説を読んで、少しでも、「心」の学習が出来るか分からないが、読みかけの小説の頁を、また開いてみた。
心ある小説で、少し安心するも、現実では失われていく「あたたかみ」かとも思う。著者はクリスチャンであったし、この本を「読解力のテキスト」として選んだ佐藤優さんもクリスチャンである。そのあたりは置いておくとして、読み進めている現状。naka



・ 『善と悪の生物学 上』ロバート・M・スポルスキー 著

   (NHK出版 2023)


黒沢清監督の、重暗い映画「クラウド」を観た後で、
自分を落ち着かせたくて、少し読むも、頭には残っていない。
以下、映画の話になる。



年末年始、アマゾンプライムで映画を観た。
心温まるヒューマンドラマは妻と観て、
いわゆる国際的な映画監督の重い映画を一人で観た。
『蛇の道(2024)』の後、数作後、『Cloud クラウド』。

私の妻なんかは、重い映画に、心がひきづられるので、三大映画祭のモノは
みない。みせない。。。
ということで、以下の拙文は読まない方がよいかと。ネタバレでもある。




主人公は、プレミアがつきそうなものを買って、高く売る。
倒産するような会社からも、足元をみて、安く買う。
(現代社会で、日常的にやられているようなこと。)
心無い主人公は、いろんな人から恨みをかい、
成功者狩りのターゲットとされる。
憎悪・妬みで結束している人たちに監禁され、
撮影されながら殺されていく話は、ありうる話と思わせる。

監禁されている主人公を助けるべく、主人公の下でいっとき仕事をしていた者が現れ、ありえない話となっていく。象徴的な話というのか。

生き残るのは、銭ゲバ的な主人公と、裏社会に通じている助っ人。
主人公と付き合っていた女性は、ピストルを持ったまま殺される。

「今だけ、金だけ、自分だけ」の現代社会を風刺した映画かと。
単純な見方ですが。
主人公が、全てを破壊しつくす「資本主義社会」の象徴とすれば、
助っ人は、それを維持する権力システムか。
救いのない世の中、という暗い感想。
こんな後味の悪さで、明日からの仕事は大丈夫だろうか。


・ 『忘却の効用』 スコット・A・スモール 著 (白揚社 2024)

まったく異なる環境で進化したことによって、
チンパンジーは反社会的な行動、ボノボは向社会的な行動を
取るようになった。
(・・・)
チンパンジーの主要な適応特性は恐れであり、
ボノボの適応特性は逆に恐れないこと
(・・・)
怖がったり激怒しやすい社会的性質を持つ個体が、
利他的でない、思いやりがない、共感しない、親切でない、寛大でない、
遊び好きでないという傾向に向かっていくのは筋が通っている。
(・・・)
チンパンジーは、より大柄で力の強いゴリラと限られた資源を奪い合わなければならず、ボノボより過酷な環境で暮らしている。

第4章 恐れを知らぬ心 P. 111 - 122


映画『クラウド』の影響をひきづっているので、このような引用。
悪政、物価高騰による貧困化、家庭内の摩擦などの環境劣化が、
「恐れ」優位となり、ある時に「怒り」へと転じ、悪循環となる。
いや、もともと人の社会(男性優位の社会)が「恐れ」優位なのだろうか。
( ボノボの社会は、女性優位。 )第四章は、本の半分を過ぎたくらい。

目次

プロローグ
第1章 覚えること忘れること
第2章 平穏な心
第3章 解放された心
第4章 恐れを知らぬ心
第5章 晴れやかになる心
第6章 謙虚な心
第7章 みんなの心
エピローグ 病的な忘却

『忘却の効用 ー「忘れること」で脳は何を得るのかー 』 スコット・A・スモール 著