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家計簿記帳による「レコーディング効果」

 みなさんは、「レコーディング・ダイエット」というダイエット法をご存じですか。

 日々の体重と食べた物を記録するだけという、その効果の有無を疑ってしまうようなダイエット法です。

 自分の食べた物を記録しているうちに、食べ過ぎや、栄養のバランスの悪さなどが見えてきて、自然と食べ物に気を付けるようになり、いつの間にか適正体重に近づいていくというダイエットの方法なんです。

 似たような方法として、「測るだけダイエット」といって、毎日体重を測るだけというダイエット法もあり、毎日体重を測ることによって、食べ物や運動量が体重に与える影響を意識するようになり、日々の生活に気を付けた結果、ダイエットにつながるという方法もあります。

 こういう話を聞くと、社会保険労務士ならば、資格試験の受験科目である労働の一般常識のところで学んだ「ホーソン効果」というものを思い出される方もいると思います。

 これは、アメリカの工場(ホーソン工場)で、1924年に行われた研究で発見されたもので、「労働者の生産性が、労働条件を改善したからではなく、単に観察されているという理由だけで向上する現象」のことで、これは、「労働生産性が、労働条件の改善だけでなく、観察されることで、労働者のモチベーションが高められる」ことに起因したものだと説明されています。

 つまり、私たちは、観察し、記録するだけで、やる気になり、その結果、ときには、労働生産性を向上させ、ときには、ダイエットに成功するのですね。

 観察し、記録することによって、生活改善に至る、別の優れた手段があります。

 私も、30年この方、継続している「家計簿記帳習慣」です。

 家計簿は、そのご家庭の家計における収入と支出をつまびらかにし、日々の記帳により、結果として、家計改善を促していく効果があります。

 「経験者は語る」と、これに関しては、私はちょっとは言っていいと思いますよ。何せ、家計簿記帳歴、30年超なんですから。

 ものすごく豊かな生活をしているわけではありませんが、①専業主婦、②住宅ローン、③子どもの幼稚園~大学まで私立進学という「家計破綻の三重奏」を奏でつつ、何とか生活を乗り切ってきているのは、家計簿記帳のおかげだと思っています。

 家計簿は収入のことも明確にしますが、それ以上に、支出に無駄がないか、仮に、無駄はあっても許容範囲内なのか、を明確にしてくれます。

 家計における支出は、大きく「ショー・ロー・トー」(消費・浪費・投資)に3区分できますが、大体において、消費:浪費:投資=70:5:25のような割合になるのが、理想とされています。

 明治の偉人で、東京帝国大学農学部教授の本多静六博士(約100年前に、日比谷公園や明治神宮の森を作った人)が言っていたように、「四分の一貯蓄」(投資)を励行し続け、残りで生活消費を行い、かつ、自分自身に5%だけは、浪費を許容するゆとりを持つこと、これが家計におけるバランス感覚なんですね。

 このことが、日々の家計簿記帳という記録行為により、自分自身に家計収支のバランス調整を促しているのです。

 家計の基本は、「収入>支出」であり、そのためには、「収入-貯蓄=支出」という「収入があったら、まず天引きして貯蓄」の「先取り貯蓄」をしなければならない、と学んでいるからです(一方で「言うは易し、行うは難し」と認識していますよ。)。

 とにもかくにも、家計にも、「レコーディング・ダイエット」よろしく、観察し、記録することによって、改善されていく効果があるのです。これが、家計簿記帳による「レコーディング効果」と言えるでしょうね(^^)/。

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