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小田島雄志著『シェイクスピア名言集』

 タイトルの著作は、本屋で何回も手に取りながら、これまで買わずにいた本です。
 ※『シェイクスピア名言集』小田島雄志著・岩波ジュニア新書刊

 どうしても気になっており、昨日、ようやくレジに持って行き、購入し、昨日・今日とで、読了しました。

 著者の小田島雄志おだしまゆうし氏は、私の駒場の東大教養学部時代に、英語を教えてくれた先生です。

 当時、テレビにも頻繁に出演されており、タレント兼演劇演出家兼大学教授という立ち位置だったように思います。

 この本も、初版が1985年12月20日とありますから、私がちょうど英語の講義を受け、苦吟している頃と符合します。

 氏は、シェイクスピア研究者として有名であり、シェイクスピアの全劇作を、翻訳しており、おそらくその翻訳が、日本のシェイクスピア翻訳の主流になっている人です。

 講義では、定番中の定番の『ハムレット』一冊を読破し、ひたすら英文和訳するというものでした(>_<)。

 残念ながら、当時の講義のことはあんまり覚えていないのですが、先生の風貌だけは今でも目に浮かびます(テレビの影響だったりして…。)。

 当時も、ハムレットの翻訳本は購入して読んだはずなのですが、記憶が曖昧でしたので、50歳も過ぎてから、『ハムレット』の翻訳本を購入して読んでみました。確か、岩波文庫だったと思います。

 すると、長~い長~い戯曲なのです。

 日本語に直すと、こんなにも長く、難しい表現のオンパレードの英文を、まるまる一冊課題として与えられていたのか、今思うと、何だかずいぶんと負荷のかかる科目だったんだなぁと、改めて感じ入ったものです。

 ただし、日本語に直すと、難しい表現になったりしますが、英語としては、シンプルな表現-しかし、人間の本質を突いたような表現-が多かったような気がしています。

 小田島先生のその本は、1985年の初版から、直近の2022年版の第26刷と、版を重ね、売れ続けているのですから、相当なものです。

 『ハムレット』に出てくるデンマークの王子ハムレットは、狂気を演じていますが、その独白のセリフとして、シェイクスピア劇作の中で、最も有名なセリフがあります。

 “To be,or not to be,that is the question.”

 この最も有名な一行は、「生きるべきか、死すべきか、それが問題だ。」と訳されることが多いのですが、この著作の中では、次のように訳されていました。

 「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。」

 実は、このセリフの後に、次のようなセリフが続くのです(日本語訳)。

 「どちらがりっぱな生き方か、このまま心のうちに暴虐な運命の矢弾をじっと耐え忍ぶことか、それとも寄せくる怒濤の苦難に敢然と立ちむかい、闘ってそれに終止符をうつことか。」

 この後のくだりから考えるに、このような解釈ができると、氏は伝えています。

 「つまり、to beとはこのまま運命に耐えて生きることであり、not to beとはこのままであることをやめ、運命と闘うことである。そして運命と闘えば人間は敗れて死ぬ定めにある。かんたんに言えば、現状を維持して無為に生きるか、死を賭して現状を打破するか、という二つの道に彼は思いをはせているのである。」

 学生時代、ぼっーと過ごすのはもったいないことの典型だと思います。現在、学生の方へ、講義はきっといいことを言っていますよ。

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