『成瀬は天下を取りにいく』読了しました
自分は、読書はそれなりにする方ですが、小説はそれほど読まない傾向にあります。
小説は年に何冊かくらいですが、2024年の本屋大賞を受賞した宮島未奈著の『成瀬は天下を取りにいく』は、ラジオだったり、テレビだったりで、その評判を見聞きし、何だか読まないと損だなという直感のもと、本屋で購入し、その晩のうちに読み切りました。
テレビでは、本屋大賞の授賞式での映像で、著者が「成瀬が天下を取りました!!」みたいなことを言っていましたが、読後、本当にそうだろうなと感じました。
今年度、研修系の部署に戻って来たので、研修所に泊まる際には、その前に、本屋に寄り、泊まる泊数分の冊数の本を購入し、読もうと思っていましたが、ちょうど、その1冊目となりました。
この本の主人公は、成瀬あかりという中2~高3の女の子です(続編では京大生になっています。)。成績は超優秀で、本当に何でもできるのですが、人から何か言われることは全く気にしないかなり風変わりな子です。
舞台は、滋賀県の琵琶湖のほとり、大津市ですが、この子の滋賀愛・琵琶湖愛・大津市愛は、半端なく、大津市にあった西武デパートの閉店にあたり、「この夏を西武に捧げようと思う」と、地元のテレビ局がその状況を伝える帯時間帯に、そのテレビ番組に映り込もうと、プロ野球の西武のユニフォームを着て、閉店までまっしぐらするのです。
私は、自分の地元が西武ライオンズの本拠地に近いので、“やや”西武ライオンズのファンなのですが、そんな突拍子もないアイデアが、よく出てくるなと感じました。
また、中学生でありながら、同級生と漫才のコンテストである「M-1グランプリ」に出場してしまうなど、本当にいろいろと挑戦するのです。
ただし、途中での路線変更もしばしばで、完全にやり切ることばかりではないのがちょっと特徴です。
この主人公は、精神医学的には、もしかすると、知能の状態はすこぶる良いが、発達障害の傾向がややある人なのかもしれないと、ちょっと感じました。
ちなみに、あの世界一の金持ちで、奇行が激しいと評判のイーロン・マスク氏は、メチャメチャに賢いですが、自分自身で、発達障害の一種であるアスペルガー症候群であると明らかにしています。
この本の主人公も、ある意味、奇行が激しいのですが、知能はすこぶる高く、ただし、相当に気分が移り気で、イーロン・マスク氏のようなところがあるのではないか、と感じますが、あながち間違っていないと思いますよ。
ちなみに、発達障害というのは、病気と言うよりも、かつては、ひとつの性格とされており、そんなに問題があるものとされていませんでしたし、該当する人の中には、知能のレベルがメチャメチャに高い人もいますから、騒ぐような話ではないように思います。
ちなみに、余計な話ですが、知能がすこぶる高い家系には、精神障害や発達障害の出現する確率が高まるという話がありますね。
ちなみにが続きますが、東京大学医学部卒の精神科医で、受験研究家や映画監督や作家でもある(何が本業だかわからない)和田秀樹氏も、知能のレベルはメチャメチャに高いですが、他人の目をあまり顧みない言動を、常日頃しており、自身を発達障害の気質があると言っています(精神科医が言っているんですから、そのとおりなんでしょうね。)。
そういう点からしても、この成瀬あかりは、性格の中に一貫した特徴があって、こういう人はもしかしたら本当にいるかもしれないと感じさせてくれます。
読後、「成瀬あかりに、ほれてまうで♡」と思った読者は多いはずですが、この主人公の行動には、性格的に一貫したものを感じさせてくれ、ある種のリアリティがありますね。
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