人に教えることで自分がよく理解できる
今でこそ、生(ライブ)での研修というのは減ってきましたが、社会人になってからというもの、おそらく千回以上の研修会講師を担当したと思います。
社会人になって、30数年経ちますが、ときどき、30年も前の研修会の私の講師の思い出を語られる元受講者の人がいます。
「わかりやすくて、面白かったぁ~!!」と口々に言いますから、多分、本当にそうなんでしょう。
周りの講師の人を見ていると、ただ、機械的に話しているだけで、相手の理解が上手く進むように話しているわけでもなく、また、もともと研修会なんてそれだけでは面白いものではないのですから、そのまま話せば、面白くなりようがないということに気付いていないように思いました。
私の研修会のコツは、相手の理解を深めるために、「趣旨・背景・事例」をきちんと話すことであり、相手に興味を持ってもらうために、それプラス「ギャグを交えた小ネタ」を話すことでした。
「趣旨・背景・事例」は、物事を適切に理解するためには必要なことです。
ですので、私は、いろいろな参考書を読むと、「これはなんで(趣旨・背景)こうなっているのかな~」また、「自分が取り扱った事案で(事例)上手く説明できないかな~」と考えてしまうクセが付いています。
私は、自分の記憶では、小学生の高学年あたりから、すでにギャグや冗談をよく言う子で、自分で言うのも何ですが、「勉強ができて、真面目なのに、冗談も言って面白い」という、結構な人気者のキャラでした。
人生は、単に真面目なだけではつまらないですよ。結構、厳しい状況でも、ギャグが言えたりするのは場が和みます。それを私は研修会の場で披露していたわけです。
研修会なんて、業務知識を知るためのものですから、もともとそんなに面白いものではありませんから、聞いている受講者もノリノリで来ているわけではありません(当然!)。
ところが、私がやると、何かの試験対策講座であっても、受講者がフィーバーして、歓声を上げたり、その結果、ものすごくやる気を出したりするのですね。
それから、私は、よく就業時間が過ぎてから、若い人を集めて、業務知識にかかる自主勉強会の講師を買って出ていました。
今の若い人って、結構、真面目なんです。少なくとも、私のように、「なんちゃって」な人生を歩もうとは考えていません。
また、「終身雇用」を信じていませんから、今いるところで、何かを得られるのであれば、積極的に得ようとしているように感じます。
ですので、自主勉強会を何年にもわたり、実施していました。
自主勉強会だからと言って、オサボリは禁止ですよ~と言っていますし、自主勉強会をフル出席した人には、修了の記念品を渡していました。
私の自腹ですが、何、大したものではありません。業務で頻繁に使用する消せるボールペンの「フリクションの赤」を、文房具屋できれいな包装紙に包んでもらい、かつ、コメントを書いて渡しました。コメントは、「ミッション・コンプリート!(任務完了!)」
講師をやると、実は得するんだよ~と、若い人には話します。人にわかりやすく話そうとすると、自分がまず十分に理解しないといけないから、自分がよく勉強するんです。
受講者からの質問も恐かったりしますから、余計に一生懸命勉強します。また、話すという自分の五感を通じた理解で、“なぜか”その理解が一層深まります。
私は、人に教えることで、自分の理解を深めてきたという実感があります。また、それを通じて、職場関係の人間関係も良好になりました。講師って、得だな~と思いますね。