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『正しいパンツのたたみ方』家庭科の話

①『正しいパンツのたたみ方-新しい家庭科勉強法-』(南野忠晴著・岩波ジュニア新書)
②『シアワセなお金の使い方-新しい家庭科勉強法2-』(南野忠晴著・岩波ジュニア新書)
③『人生の答えは家庭科に聞け!』(堀内かおる・南野忠晴著・和田フミ江画・岩波ジュニア新書)

 この3冊は、大阪で、府立高校の英語科教員として勤めながら家庭科で教員採用試験再受験し、府立高校で初の男性家庭科教員の一人となった南野忠晴氏(1958年生)の新しい家庭科にかかる啓発三部作です。

 この3冊を読んでみて、家庭科学習のこの数十年における変遷を、改めて理解したのですが、お恥ずかしながら申しあげると、私が「家庭科」が学んだのは、小学生時代のみでした。

 中学時代は「家庭科」ではなく、男子はその代わりの科目として「技術」で、そして、高校時代は「家庭科」科目そのものがなかった時代(よく覚えていませんが、男子は代わりに体育をやっていたらしい。)でした。

 小学生時代に、「家庭科」で学んだことを活かし、目玉焼きを焼いたり、ボタン付けをしたりもしましたが、そのようなことが活きたのは、中学時代に母が入院して、自分の弁当を毎日、自分で作って学校に持って行ったときだったのを覚えています。

 今は、全く料理をしなくなってしまいましたが、もし、私の時代に、家庭科が、中学・高校とあったならば、もう少し、料理などに馴染んだ生活になっていたかもしれません。

 南野氏は、家庭科とは、その人の「生活する力」を育てる科目だと言います。

 中学・高校の家庭科では、現在、衣・食・住・家族・保育・消費経済・福祉の各分野を学習すると記載されていますが、昨今では、ここに、金融教育なども加わっているのかもしれませんね。

 つまり、これらは、「家庭科」という科目の中で、ひとくくりにされているだけで、学問としては全く別のものでありながら、実際の生活の側から考えれば、分野ごとに分けない方がむしろ自然で、「生活をトータルに見る」というのが、家庭科の大きな特徴となっていると言います。

 前掲①の『正しいパンツのたたみ方』というびっくりするようなタイトルの本の中に、高校の家庭科で行うワークショップの課題として、「結婚するならどんな人がいいか?」というものが記載されていました(^-^)v。

 結婚相手を決めるとき、自分がどんな条件を大切に考えるかをゲーム感覚で探るもので、次の条件に、合計が100ドルになるように、入札し、誰がその条件を落札するか競い合うのです。

●結婚相手に求める条件 【A】性格が良い、【B】健康である、【C】収入が良い、【D】趣味が一致する、【E】家事が上手、【F】顔・スタイルが良い、【G】将来性がある、【H】私の考えを理解してくれる、【I】私を大切にしてくれる、【J】一人っ子や長男でない、【K】私の家族とうまくやって行ける、【L】子どもが好き、の中から、自分が大切だと思う条件を好きなだけ選びます。

 この入札結果は、生徒により、かなり傾向が分かれるようで、傾向とは次の二つです。

 「ブランド志向」…【B】【C】【E】【F】【G】【J】で、すべて結婚相手の客観的な条件です。つまり、「取り替え可能な」相手の属性です。

 「関係志向」…【A】【D】【H】【I】【K】【L】で、自分の性格や感覚、価値観と相手のそれらが一致するかどうかを問う条件で、「自分と相手の関係性」に重きを置く条件です。

 入札結果は、ブランド志向よりか、関係志向よりか、はたまた折衷系か、非常にワークは盛り上がるそうです。

 私は、ブランド志向よりの折衷系でしょうか。大人になると現実的になったものですが、高校生にも同じ感覚の人はいたようですよ。

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