「安全・確実・高利回り」そんなのない!!
FPの世界で、まず習うことは、金融商品は、「低リスク・低利回り」か「高リスク・高利回り」かの二つに、大きく分けられるということです。
①安全・確実で低利回り
これは、元本割れのリスクがほぼないもので、銀行預金に代表されるものです。
銀行預金も、銀行破綻時にはペイオフの問題がありますが、元本1,000万円とその利息までが破綻しても保護される仕組みが整っており、基本的には安全かつ確実な利回りを得ることができます。
ただし、みなさんもご認識のとおり、現在の銀行預金の金利は、普通預金で0.001%/年、定期預金で0.002%/年などといった感じで、涙がちょちょ切れるほどの低利回りです。
②不確実だが、高利回り
一方で、株式や投資信託などは、リスク(単純に言うと値動きのブレ)があるため、高利回りの可能性があります。
リスクに応じて、利回りの高さも異なってきます。
これらは、元本割れする可能性は避けられないのです。
ただし、数十年単位の中長期的に見れば、銀行預金より高利回りになる可能性が高いとされています。
①と②はトレードオフの関係にあります。トレードオフとは、「両立できない関係性」ということです。
つまり、「一方を尊重すればもう一方が成り立たない状態のことで、2つ以上の要求を同時に満たせない、ジレンマを抱えた状態のこと」で、日本語的には、「あちらを立てればこちらが立たず」という意味になります。
そうしてみると、次のような金融商品は世の中に存在するのでしょうか。
③安全・確実・高利回り
これがあれば、最高ですが、そうした商品はほぼ間違いなく「ウソ」です。
これは成立しません。
このようなことをうたって、毎年、数十億円から数百億円の資金を集めて、業者がドロンする(逃亡する)金融詐欺事件が発生しますが、こういう「安全・確実・高利回り」をうたう商品は、ポンジ・スキームと言って、「自転車操業」なんです。
ポンジ・スキームとは、1920年代の詐欺師、チャールズ・ポンジに由来するもので、古典的な投資詐欺の一種です。
どのような仕組みかというと、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に配当金などとして還元する」などと「ウソ」を語り、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資金から新たに集めたお金を、以前からの出資者に向けて、配当金などと偽って渡し、あたかも資金運用によって利益が生まれ、その利益を出資者に配当しているかのように装うものです。
簡単に言うと、第2期募集で集めたお金を第1期募集の顧客へ配当し、第3期募集で集めたお金を第1期・第2期の顧客に配当します。
これを続ければ、運用の実態がなくとも、高利回りに見せかけられるのですね。
こういう仕組みが続くはずもなく、手頃なところで、業者は資金を持ち逃げする(ドロンする)のですね。
後から気付いても、すでに遅く、破綻のニュースを聞いたときには、お金のほとんどは戻ってこないのです。
日本では、1990年代の「オレンジ共済組合事件」や、2010年代の「安愚楽牧場事件」、「日経225先物アービトラージ詐欺事件」、「ジャパンライフ事件」などが有名です。
新しい金融商品だから、「安全・確実・高利回り」があるのだとささやかれても、それは全くの作り話、「ウソ」のセールストークなんですね。
ですので、「安全・確実・高利回り」と言われても、決して手を出してはいけません。
「ウソ」ですからね。
ですので、私たちが、選択すべきものは、①安全・確実で低利回りの銀行預金系か、②不確実だが、高利回りの株式・投資信託系か、のどちらかになります。
現実には、①と②をバランスよく保有し、生活資金や緊急資金には、①を、将来を見据えた投資資金には、②を、充てることになるのでしょう。くれぐれも、③には目もくれないことです。「ウソ」・「詐欺」ですからね。
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