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キミは圧巻の演出が光る『デレマス』1話の冒頭4分半を知っているか!?
キミは『アイドルマスター シンデレラガールズ』第1話を観たことがあるか!?
観たことがあるのなら、静かに握手しよう。
観たことがないなら、ぜひ君の人生から24分を僕に騙し盗らせて欲しい。
「騙す」……といっても損はさせないつもりでいるんですよ?
なにせ『デレマス』1話は、あまりにも均整の取れた美しい演出が見事にパッケージングされた大傑作!
アニメ好きだなぁ……と少しでも思ったことがあるオタクならば、何を置いても一見の価値アリなんです!
他ならぬ僕も所謂「ゲーム」を全っっ然やらないタチですので、当然『アイマス』に対しての知識もゼロ。となると『デレマス』を観ようとは中々思わないわけですが……
ある日に尊敬するアニメオタクの先輩からオススメいただき、「ま…まああんたほどの実力者がそういうのなら………」と視聴したんですよ。
もうね、コレが本当に面白い!「あんきら」を筆頭に際立つキャラクターの可愛らしさは勿論ですが、何よりも演出が段違いにキレキレで堪らん!
というわけでアニメ『デレマス』1話を滅茶苦茶に語る記事を書きます。
角が立たないように言っておくと、ここからアイドルの話は殆どしません。
アイドルに萌える初見オタクの感想を求めて集まったプロデューサーのみなさんについては……残念ですがここで解散となります。
僕がここからするといったら、せいぜい時計とドアノブの話くらい。
勢いに振り落とされないよう、覚悟してくださいね!
監督・高雄統子さんについて
監督を務めたのは元京アニ所属の腕利き・高雄統子さん。
正直いうと、僕も高雄さんについては詳しいとはとても言えない。
……しかし胸を張って詳しいとは言えなくとも、大好きな演出家なんです!
京アニが産んだ偉大な女性演出家といえばまず名前があがるのは間違いなく山田尚子さんでしょうが、高雄さんも負けじと素晴らしい演出をなさる方なんですよ!
最近はちょっと寡作気味で、TVアニメ監督作もこの『デレマス』だけ……となれば今も精力的に作品を送り出している山田尚子監督と知名度の差が付いてしまうのはしょうがないんですがね。
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直近の作品が2019年というのは少しさみしいですね……
ほんっっとーにごく主観的な感覚ですが、いわゆる「京アニの演出」とされているのは「石原立也→山田尚子→藤田春香」てな感じの演出家の系譜なのでは?と最近思い始めまして。
一方でそういったパブリックイメージに沿ったウォームな「京アニ」に馴染めず道を違えたのが、クールな演出家「山本寛・高雄統子」ラインなのでは?と。本当に適当言っちゃってるかもしれませんが。
まぁこれは高雄さんが京アニ時代に絵コンテを割り振られた回で印象的なのが「律と澪のケンカ回」「こなたが亡くなった母と向き合う回」だったりするのも影響してるかもしれません!
『もうひとつの世界 智代編』という超弩級の傑作を生み出した印象も、オタクの脳裏にこびりついている事でしょう。あれは本当に、掛け値無しに美しいフィルムですから……
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まぁ何が言いたいかといえば、高雄さんが生み出すフィルムの圧倒的な存在感は凄い!ということ。クールかつシャープ、「演出」の快感を追い求める求道者って感じの印象です。
シンデレラ達をアイドルへと導く「時計」
その類い稀な高雄演出のクールネスが存分に現れたのが、『アイドルマスター シンデレラガールズ』1話……!というわけです。
伊達に「シンデレラ」をタイトルに冠していないというか、とにかく時計モチーフの扱い方がずば抜けて上手いんですよ!!
この『デレマス』というアニメにおいて、時計の針が動く様はそのままアイドルとして美少女達が”成って”いくことの優れたメタファーとして機能しているように感じます。
シンデレラのあらすじ(0時になると魔法が解ける)とは矛盾してしまうので、ここの捉え方に関しては若干自信ないんですが……実際に本作の映像を見ると、そうとしか思えない。
それにさぁ、0時にガラスの靴を階段に落とそうとも輝き続けるシンデレラ達……なんて、何ともポエティックで素敵だと思いませんか?
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まぁメタファー読解の正誤に関しては、ご意見のある方から当記事のコメント蘭に頂くとしましょう。
ともかくこの記事内では、「時計」というモチーフはアイドル達の成長/前進などを意味しているという定義でいかせて頂きます!
さてさて……そういう定義となると、この「時計」は極めてパワーのあるメタファーであることが分かるでしょう。
なにせ『シンデレラ』と銘打たれた作品における「時計」というだけでも十分に役割が重いのに、加えて時計の動きがストーリーの前進までもを意味しているんですから重要すぎる。
時には、雰囲気を出すための静謐な小道具として……
時には、ストーリーを前進させる小気味よい比喩として……
あらゆるシチュエーションで活躍できる上、簡単に重い「意味」を付与できる。便利ですね~
しかしどんなシチュエーションにでも花を添えられるその利便性が故、逆にこの「時計」演出には危うさもあります。
その危うさとは、乱発してしまうと「時計」メタファー自体の価値が落ちてしまいかねないこと。
仮にもし価値が落ちてしまったら、「時計」を演出の軸に据えているこのTVシリーズとしては大打撃としか言えません。懐刀として用意している演出が飽きられるなんて事があれば、そのアニメは”終わり”ですよ。
「時計」は本作にとって一撃で強い印象を与えられる切札のカード。
だからこそ、乱発しては自分の首を絞めるばかり。あくまで慎重に、ここぞという時の必殺技として温存していきたいはずだと考えます。
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その点、この1話はシリーズ開始早々にしてひとつの「正解」を出してしまっています。というか余りにも1話が凄すぎて最早「越えられない壁」みたいになっちゃうというか…………
結論から言えば、「時計の針は始まってすぐにガンガン動かす」というウルトラC級の思い切りの良い演出方針!
おいおい、こんな強力な演出はふつう慎重に動かすモンじゃないのぉ!?と思わず面食らわされます。しょせん我々ド素人の予想など、センスの溢れた演出家の前では赤子の戯れ言ってことだな!!!
『デレマス』1話冒頭、究極の4分半
ではでは!ここからは『デレマス』1話におけるアグレッシブな驚くべき演出の数々を見ていきましょう。
まず注目したいのは、第1話が始まる瞬間のカット。いわゆる「ファーストカット」というやつですね。
あらゆる映像作品において最も重要とされるのが、このファーストカット!
何せ、文字通り第一印象ですからね。これから先の展開を暗示したり、テーマ性に食い込むような懐の深いカットが採用されることが多いです。黒澤明『どん底』とかが分かりやすい例かも。
本作は「時計の秒針が11時59分へと動く」という極めて象徴的なカットを最初に持ってきます!素晴らしすぎ……!!!
まさに「これからシンデレラへとなってゆく女の子達の物語」の導入として、本当に理想的だと思います。
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そして先輩アイドル達のライブMCと共に、ここからデビューへとなだれ込んでいく主人公トリオの出会いを描写……
そして、出会った瞬間に時計が12時ぴったりに動く!!
つまり「時計」はアイドルそのもの、或いはそれを目指す少女達の旅路を象徴しているんですね。……なんと恐ろしいまでに冴えたメタファー演出の連打、冒頭から視聴者は心を鷲づかみにされます。
ちなみに本作の演出には(先述したような理由で「乱発」を避けるためか)基本的に「時計の針を動かすのは1エピソードにつき1回」というルールがあるようなのですが……
なんと今回、ここまで1分も待たずに時計の針は既に2回も動いている!!!!あまりにもテンションが高い演出に、観ている我々のボルテージも早々にMAX!
いや~みなさん完ッッッッッ全に迸っていますよ、高雄統子の才気!!!「時計の針を動かすのは1回」みたいなルール作った張本人はアンタだろうによ、この御方は狂ってやがるぜ!!!
そして挨拶代わりの萌え萌え~~~んな『お願い!シンデレラ』ライブシーンがありつつ、アバンが終了。お話はAパートへと移っていきます。
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それまで解説し出すと文字数がヤバいので割愛
Aパート冒頭は、風景のカットを重ねてこの場所が「アイドル養成所」であることを示してからの、満を持して主人公登場!
笑顔がとっても可愛いアイドル志望・島村卯月さんがデビューを目指して練習しているシーンが始まっていきます。かわいい……
ちなみに力の入ったライブシーンの後なので見逃してしまいそうになるんですが、ここの始まり方も凄いんですよ。養成所内のシーンは(やはり、と言うべきか)時計のアップから始まる訳なんですが……
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この時点では、時計は「調整中」なんです。
この演出があることで、卯月さんのセリフを待たずして、既に卯月さんのアイドル(を目指す)活動が停滞している現状が雄弁に語られている!
これぞ演出!と叫びたくなる素晴らしさ。台詞を不必要に感じるほどに画面が雄弁である状況、最も幸せですからね。
そしてストレッチを頑張る卯月さん(かわいい)の元へ、来訪者として強面だけど真摯なプロデューサーがやってきます。
彼は卯月さんをデビューさせてくれるキーマン。いわばシンデレラを目指す彼女の「時計の針」を動かしてくれる存在な訳です!そんな彼の登場を視聴者に知らせるカットは当然……
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あの時計と似た画角で、時計回りにノブが回転しなくちゃあいけないよなぁっっ!?
これまで2,3度、快く動いた時計の針を見せられてきている視聴者は、端から見たら普通なこの”ドアノブ回転”カットから、意図を読み込むように誘導されてしまうのです。
「これは卯月さんの止まった針を12時へと導いてくれるキャラが出てくるんじゃないか……?」と。
そして案の定現れるのです、強面のPさんが。
そして卯月さんの「調整中」な時計が、音もなく動きだす……!!
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この鮮やかな「時計」メタファーの提示と意味づけ。時計の針から韻を踏むようにした掛詞的な”動き”の連想ゲームと、メタファーを利用した演出の発展形を実践するまで……
ここまで、わずか4分半!!!!!う、嘘だろ!?!?
おわりに
もちろん、この4分半を終えた後も『デレマス』1話の時計演出は火を吹き続けます。渋谷凜さんをスカウトしようとするくだりとか、時計に注目すると非常に面白いですからね!
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「アイドル(シンデレラ)」の比喩である時計の位置と、凜さんの向く方向に注目……!
しかしソレを全て語ろうとすると、あまりにも文字数が膨大になってしまう……!そうなると、あまりnote向きではなくなってしまいますからね。
今回は敢えて「冒頭4分半」に絞って『デレマス』1話の演出的な魅力を語ってみました。何度見返しても圧巻のフィルム、みんなにも観てほしいな……!
しかし鬼の首でも取ったかのように「4分半」って何度も繰り返してますけど、この間には『お願い!シンデレラ』のライブシーンがしっかりした尺で挿入されてますからね。
もちろんライブシーンも演出として効果的であるものの、ある意味で他の会話パートよりはファンサービス的パートであることも事実。
演出を完遂したすぎるあまり、視聴者を置いていくようなことはないのが高雄統子さんの素晴らしいところです。
自分の考えたクールな演出にばかり気を取られて演出家の自己満足のようになってしまうと、原作ファンは心中穏やかでないでしょうから。
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むしろ十分すぎるほどにファンサービスも入れているのに、尚も演出のキレが落ちない凄み!これぞ”商業アニメーション”の作家たる姿ですね。
美しい演出で伏線を張って回収、伏線張って回収……を凄いペースで繰り返し、あっという間に作品の世界観へと視聴者を引きずり込む。
しかも高雄さんが『デレマス』1話の冒頭4分半で魅せきった「時計」モチーフの利用って、決して小難しく気取った演出じゃありませんよね。
ものすごく明快で、とても分かりやすい。
それでいて、とってもお洒落で気が利いている。
非言語的な手段である「演出」の意図が容易に……そしてここまでハッキリと読み取れる点も、『デレマス』1話が極めて優れたアニメーションであることの証明だと思います。
というわけで、至高の演出に溺れたいオタクはぜひ『デレマス』を観るべし!!!!そして高雄統子さんをR.E.S.P.E.C.T.すべし!!!!
以上!!!!!!
……いや。このままじゃあ終われないよな。
だってそうでしょ?俺はまだ346プロに所属するアイドルの話を、全くと言って良い程していない。
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記事冒頭で「アイドルの話はしない。するとしたら時計かドアノブだけ」みたいに大見得を切っておいて言い辛いが、やっぱりアイドルの話してぇよな……!
文章内でアイドルに一切触れず、どうしてアイマスのアニメを語り得たことになるんだ?
演出の話するのも大いに結構、アニメーションとして語るのも大いに結構。
しかし作品を本当にリスペクトするなら、アイドルに前のめりで萌えまくる姿勢をさらけ出さなくちゃあ!!!
ではでは最後にちょっとだけアイドルの皆さんについての話をして、それを末尾の挨拶に代えさせて頂きますね……!
本文でも折に触れて言及した島村卯月さんは本当に笑顔が可愛らしくって、Pが「(スカウトのきっかけは)笑顔です」と言ったのも納得の可愛らしさ!あとはみくちゃんもとっっっても素敵なアイドルで、真摯な姿勢が素敵だった。でもコロッケからとんかつまで醤油をかける俺と、ソース派の君じゃあ、とても釣り合わない……やっぱり自分が特に惹かれたのは諸星きらりちゃんのアイドルとしての素敵さ~~!!!!まぁそもそも「凸レーション」がユニットとして最高すぎるんですよね。だって赤城みりあちゃんがとっっっても可愛いから!黒沢ともよ大好きだし。未だに『いじらないで、長瀞さん』の主役は上坂すみれじゃなくて黒沢ともよであって欲しかったなと思っている。黒沢ともよver.のPV観たことあります?ヤバいっすよ。上坂すみれの長瀞さんはやっぱり「自分がメスガキ然とした女の子(年齢的にメスガキではない)」であることに自覚的なサドの美しさがあるんですが、黒沢ともよ長瀞さんは、やっぱりどこかでイノセントな小悪魔なんですよね。そこが良い。みりあちゃんはキャラソンの『Romantic now』が本当に最高すぎる、という話がずっとしたくて。ラップ風アニソンとしてやっぱり出来が良すぎる。2バース目とか「誘うのランチ あのメガネ男子/しばし監視 寝ぐせさえファンシー!/視線感知 良い感じ?」と”a n i”で踏みまくっていて凄い。単語同士の完全韻と体言止め、ギドラ以後の日本語ラップらしいお手本のようなライミングで嬉しくなるぜ。小節のケツで踏むというライムスキームの組み方がしっかりしている。……でもやっぱり惹かれるのはきらりちゃん。お嫁さんになってほしいから。みりあちゃんはあくまで孫。ちなみに城ヶ崎莉嘉ちゃんは正直、えっちな目で観ている。ひし形とまる先生の『カリスマちびギャル☆ギリギリえっち』のせいですコレは。あれは本当に傑作だし、ラストでおまけ的にペ○的な領域に足を突っ込んでるのも素晴らしい。あ、ごめんなさい!したいのは諸星きらりちゃんの話だった。なんてったって24話の「きらりみたいな子でも、可愛いアイドルになれるんだ。なってもいいんだって、じーんときたのぉ」ってセリフ、あまりにも良すぎるよな。な、いわゆる「女の子らしさ」とはちょっと違うかもだけど、可愛らしさを目指したきらりちゃんの有り様がもう美しい。いや、しゅごい!なんかあのしゃべり方に最初はかなり度肝抜かれた節はあるんですけど、あのしゃべり方もきらりちゃんなりの「かわいい」なのかなと思うと素敵だなって思えるんですよ。諸星きらりちゃん……!諸星きらりちゃん……!現れた瞬間、君の全てにベタ惚れ。身長186・体重61kg・血液型O型から織り成す、奇跡のアイドルポーズ……!きらりちゃんなら絶対なれるよ、誰よりも輝いてるアイドルに!!絶対いける……!絶対いける……!俺がそもそも身長大きい女の子も、可愛らしい女の子も、信念を持って頑張ってる女の子も好きだからという個人的な事情はあるけれども、ソレを抜きにしてもきらりちゃんが好きすぎる!!肩を並べて歩きたい、身長に負けじと。やっぱきらりちゃんの何が良いって高身長の割に案外お胸は控えm