開催記録|【第3回】特集「On defining and interpreting constructs」を読む@オンライン
(2021.01.24のブログ記事を転記したものです)
先日,特集「On defining and interpreting constructs」を読む勉強会をオンラインで開催しました。
勉強会の目的は以下です。
1. 論文をリソースとして構成概念について議論する
2. 「心」を捉えるという営みについて議論する
以下はそのときの記録です。
第3回勉強会
参加者:8名
開催日時:2021年1月14日(木)
開催時刻:19時〜21時10分
第1報告
Illegitimate concept equating in the partial fusion of construct validation theory and latent variable modeling
── 報告者:下司 忠大
構成概念妥当性に関する理論や潜在変数に関する理論ではさまざまな概念が登場します。それらの概念の間には互換性(等化)が存在すると仮定されていますが,それらがなぜそのように考えられているのか,そしてそれは妥当なのか,という点について論じた論文です。
結論の概略だけ言えば,6つの視点に対応して,それらは等化であるとみなされているが(本論文Fig.1),それらの根拠はうすく,「正しい」概念使用を考えていかなければならないということでした。
第2報告
Deconstructing the construct: A network perspective on psychological phenomena
── 報告者:小田 友理恵
心理測定において従来取られてきた2つのモデル(反射的モデルと形成的モデル)に代わる第3のモデル(ネットワーク的モデル)を提唱する論文です。
その根底には因果関係をシステム論的に捉える視点があり,それを測定のレベルにまで反映させようとする意欲的な試みであると判断されます。
当日はその是非についてさまざまな議論が行われ,その点からみても刺激的な論文であったと思われます。
次回について
特集「On defining and interpreting constructs」を取り上げるのは今回で終了です。構成概念について考えることは一筋縄ではいかず,難しい問題であることを改めて認識した勉強会でした。
次回も類似のテーマではありますが,趣向を少し変えて,測定について勉強していきたいと思います。
取り上げる文献は『Measuring the mind: Conceptual issues in contemporary psychology』(Borsboom,2005)です。第1回は2021年2月21日14時〜,第2回は2021年3月14日14時〜です。
詳細な案内は近日中に公開いたします。ご参加をお待ちしております。ともに「人間をとらえるということ」について考えられることを楽しみにしています。