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恋人との連絡頻度で悩むあなたへ(2)

 少し前に書いた記事が結構なPVを稼いでいました(恋人との連絡頻度で悩むあなたへ)。

 せっかくですので,その第2弾を公開いたします。予めお伝えしておくと,第2弾は抽象的な話になっています。それを,より具体的な話に落とし込んだ第3弾はいずれ書く予定です。

 では,以下,本文です(ブログの再掲)。

 先日,「恋人との連絡頻度で悩むあなたへ」を公開しました。

「恋人から連絡がこなくて不安」
「恋人から頻繁に連絡がきて面倒」

という,真逆の相談について心理学の知見を使いながら答えてみました。

 しかし,その記事の中で,本当に私の言いたかったことには触れることができませんでした。ですので,今回,恋人との連絡頻度で悩む人に向けて,新しい視点を提供できるような話を紹介できたらと思います。

「探究心」は過去視点

 「恋人から連絡がこなくて不安」「恋人から頻繁に連絡がきて面倒」という悩みの相談者は,同時に「なぜ連絡してくれないの?」「なぜ頻繁に連絡してくるの?」ということも気にかけています。すなわち,相談者は,その行動の原因が知りたいとも思っています。

 「行動の原因が知りたい」という探究心は自然な気持ちかなと思います。なぜなら,行動の原因(=理由)がわかれば,不安や面倒を感じにくくなるし,どのように対応したら良いかもわかるからです。たとえば,連絡がこない理由が「忙しいから」だとしたら,不安にならずに待つことができます。ちなみに,心理学の研究でも,「人がなぜある行動をとるのか」という行動の原因を調べることが多いので,「行動の原因が知りたい」という探究心は,心理学を学んでいる人もそうでない人も共通して生じるのだと思います。

 このように,「原因(理由)が知りたい」という気持ち(探究心)は自然なものなのですが,ここで少し立ち止まって考えてみたいと思います。

 「原因が知りたい」と思うとき,視点はいつに向けられているでしょうか。その行動が起こるよりも前の出来事に向いているでしょうか?それとも後の出来事に向いているでしょうか?たとえば,連絡がこない原因(理由)はなにかと考えるとき,「連絡がこない」よりも前の事柄について考えるでしょうか?後の事柄について考えるでしょうか?

 おそらく,多くの場合,行動が起こるよりも前の出来事について考えると思います。たとえば,「連絡がこないのは忙しいからだ」と考える場合,「忙しい」は連絡がこないよりも前に生じていますし,「他者への信念がネガティブだからだ(詳しくは前記事を参照)」と考える場合も,他者への信念がネガティブになったのは連絡がこないよりも前です。すなわち,ある行動の原因を考える場合,過去に視点が向きます。「原因は結果より時間的に先行する」という命題を聞いたことがあるかもしれませんが,ある行動の原因はそれよりも前に生じていないと原因になり得ないので,行動の原因を探ろうと思った場合どうしても視点は過去に向かざるを得ません。ただし,念のため補足しておきますと,逆向き因果(原因と結果の時間的な順序が逆転すること)というのもあるそうです(詳しくはまだ勉強できていません…)。

「願い」は未来視点

 ところで,「恋人から連絡がこない」「恋人から頻繁に連絡がくる」という悩みは何を求めているから生じるのでしょうか。

 「恋人から連絡がこない」と悩む人は,恋人と頻繁に連絡が取りたい,あるいは,頻繁とは言わなくとも,もう少し連絡がほしいと思っているから「連絡がこない」と悩んでいるのだと思います。他方,「恋人から頻繁に連絡がくる」と悩む人は,連絡頻度を減らしたいと思っているから悩んでいるのだと思います。一見すると悩みの方向は逆です。しかし,両者で共通していることがあります。それは,「より望ましい関係を築きたい」という願いです。連絡がこなくて悩む人も,連絡がきすぎて悩む人も,「今のままでは関係を続けることが息苦しい,でもこの人と関係を続けるために,連絡の頻度(関係の在り方)を改善したい」と願っているのだと思います。だから悩むのです。

 さきほど,「行動の原因が知りたい」という探究心は過去に視点が向いていると書きました。では,「より望ましい関係を築きたい」という願いはいつに視点が向けられているでしょうか。

 「より望ましい関係」とは「未だに来ていないが,達成したいこと」です。ここからお察しがつくかと思いますが,その願いは「未だに来ていない」,すなわち,未来に視点が向いています。連絡頻度についてなぜ悩むのかというと,未来を考えているから悩んでいるわけです。

二人の望ましい未来を考える

 ここまでの話で土台ができました。そろそろまとめに入ります。

 まず,私たちはなぜ連絡頻度で悩むのかというと,パートナーとの未来を考えているからです。未来を考えているのですから,考えるべき方向性は未来です。しかし,多くの場合,なぜか「原因が知りたい」という探究心が生じ,視点が過去に向かってしまいます。考えるべき方向性と考える視点との間に矛盾が生じるわけです。矛盾は人間にとって不快の種です。だから,どうしていいかわからず,不安が増大し,ネガティブなことを考えてしまいます。そのネガティブさはパートナーへの疑心暗鬼につながり(たとえば,浮気しているのではないか?私のこと好きじゃなくなったのではないか?,など),「より望ましい関係を築きたい」と思っていたから悩んでいたはずなのに,その願いとは逆方向,関係の悪化へと至ります。皮肉でしかありません。

 ですから,視点は未来に向ける方が望ましいと思います。「連絡がこない」あるいは「連絡がきすぎる」という現状に対して,「なぜなのか?」と原因を考えるのではなく,「どうしたらよいのか?」あるいは「どのように発展させるとよいのか?」というように,未だ来ない望ましい関係の在り方へ視点を向けて,そのためにできることを探った方がよいかと思います。そうすれば,不安に押しつぶされることなく,自分のやるべきことが見えてくるはずです。

 また,原因=過去がわかっても,その過去を変えることはできません。その意味で,過去に視点を向けてもどうにでもできないことが多いです。しかし,「これからどうしていこうか」という未来の目標は自分で調整できます。その意味で,未来視点は自分なりにどうにかできます。

 「相手はなぜこの行動をするのか」ではなく,「二人の関係をどのように発展させていきたいか,そのために私には何ができそうか」と考えること。それが,恋人たちが自分たちにとって望ましい関係を築く上で大事なことなのではないかと考えています。


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仲嶺真
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