開催記録|『測りすぎ』を読む@オンライン
(2021.08.16のブログ記事を転載したものです)
先日,『測りすぎ:なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』を読むオンラインで開催しました。
昨今,業績評価,授業アンケート,満足度調査など,あらゆるものが数値化の対象になっています。
そのような数値化は何かの目的があって行われます。しかし,その目的を達成する以上に数値化(測定)によるデメリットが大きい場合,目的達成のために数値化が効力を発揮しても,それ以外の部分に負担を強いてしまい,その結果,全体としてはマイナスになっている,ということもありえます。
また,そもそも本来知りたかったものをきちんと数値化(測定)できているのかという問題もあります。
前回の研究会の目的は,目に見えない「心」を測定しようとする心理学にとっても重要となる,このような数値化の問題について考える時間を創ることでした。
以下はそのときの記録です。
研究会詳細
参加者:5名(うち,新規参加者1名)
開催日時:2021年7月18日(日)
開催時刻:14時〜16時
備考:本会は,日本心理学会の研究集会等への助成による助成を受けています。
当日の流れ
当日は奥村さんと私の2名から話題提供が行われました。奥村さんの話題提供は以下の3つの観点から行われました。
1. 科学と測定
科学の枠組みからの測定の位置づけ,その位置づけの認識を誤ると,『測りすぎ』が生じるという問題。
2. 人間性について
本書を読んだときに生じる「科学で人間はわからない」といった安易な結論への警告。
3. 測定執着の心理学的メカニズム
測定執着はある観点からみれば合理的であり,その心理学的なメカニズムとしてはどのようなものが考えられるかという指摘。
仲嶺(私)の話題提供は以下の2点でした。
1. 妥当性の問題
測りすぎの問題の多くは妥当性の問題に帰着するのではないかという指摘。
2. 妥当な測定の条件
妥当性(妥当な測定)をどのように捉え直せば良いのかという考察。
次回の研究会
次回以降も引き続き,お互いに考えていることを共有しながら考えを発展させていく対話型思考の研究会を開催していきたいと思っています。
次回の公開研究会は,9月12日(日)に「心理学的支援と「科学」──みんなで語り考える科学者-実践家モデル」というテーマで開催します。詳細はこちらをご確認ください。
参加をご希望なさる方は仲嶺(abcdigroom[at]gmail.com)までお知らせください。★[at]→@
ともに考えられることを楽しみにしています。