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#05 わかりあえないことから

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平田 オリザ (2012). わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か── 講談社現代新書

本書紹介 from 講談社

日本経団連の調査によると、日本企業の人事担当者が新卒採用にあたってもっとも重視している能力は、「語学力」ではなく、「コミュニケーション能力」です。ところが、その「コミュニケーション能力」とは何を指すのか、満足に答えられる人はきわめて稀であるというのが、実態ではないでしょうか。わかりあう、察しあう社会が中途半端に崩れていきつつある今、「コミュニケーション能力」とは何なのか、その答えを探し求めます。

本書概要

会話(コミュニケーション)はキャッチボールだと言われます。自分のメッセージ(ボール)を相手が取りやすいように投げて,うまく取ってもらえたら会話が成立。うまく取ってもらえなかったら,あるいは,うまく投げれなかったら会話は不成立。従来はこのように考えてきたと思います。

会話のキャッチボールモデルでは,うまく投げ合う,あるいは,うまく取り合うことが前提となっています。逆にいうと,うまく投げれなかったり,あるいは,うまく取れなかったりしたら,ダメだという烙印を押されることになります。つまり,必ず通じ合わなければならない(キャッチボールできなければならない)と想定されているわけです。

でも果たして,我々は必ず通じ合うことはできるのでしょうか。むしろ,通じ合わないことが普通だからこそ,似ているところを見つけると嬉しくなったり,なんとかわかってもらえるようにしたりする必要があるのではないでしょうか。通じ合わない相手だからこそ会話が必要なのではないでしょうか。

私たちがこれまで考えてきた「コミュニケーション観」を根底から考え直すきっかけになる刺激的な本でした。何回も何回も読み直そうと思いました。

(以上はInstagramの再掲)

ページ数から見る著者の力点

本書は8章ありました。まえがきとあとがきを含めると計10章でした。各章のページ数は以下の通りです。

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