長久手
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ノリアキ、夜の共犯者
キリストは、信者の間に愛がある時には、いつも自分はそこにいると答えた。触れることのできる人としてではなく、人々の間の愛や連帯の絆として存在する。だから、「我に触れるな。愛の精神をもって他者に触れ、他者と関わりなさい」と。
しかし、今日、新型コロナウイルスの感染拡大の只中で、まさに我々は皆、他者に触れるな、自らを隔離せよ、適切な身体的距離を維持せよ、という呼びかけの集中砲火を浴びている。これは、
There will be da Music.
結局のところ、前者の「リアル」についてのヒップホップのパフォーマンス――「妥協なんてしない」(というメッセージ)――それこそが、まさに後者の「リアル」に、つまり、そういった真正性の感覚さえもが高い市場性を持つことが明らかな後期資本主義経済の経済的不安定さというリアリティに、容易に回収されることになってしまった。ギャングスタ・ラップとは、その支持者がしばしば主張するように、既存の社会状況を単に反映
もっとみるそれからはモールのことばかり考えて暮らした
すべては消化されて均質なカスとなった。こうしてついにすべては終わりを告げた。検査され、油をさされ、消費されたカスは、今後は品物の中へと移動し、いたるところで品物と社会関係とのぼんやりしたつながりの内部へと拡散される。古代ローマのパンテオン(万神殿)ではあらゆる国の神々がごちゃまぜになって共存していたように、現代のパンテオンである膨大な「ダイジェスト」としてのショッピング・センター、われらのパンデ
もっとみる『Mr. Sound Postman』 街角麻婆豆
10年くらい習ったバイオリンを中学生の頃にやめた。最後までさっぱり上手くならないままだった。なんとなく落伍したような気がして、クラシックを聴くことからも遠ざかった。程なくしてロジャー・ウォーターズやトム・ヨークに夢中になった。バイオリンはエレキギターにすげ変わり、クロイツェルやカイザーは「Time」や「Paranoid Android」に取って代わった。プログレばかり聴いていたが、しきりにクラシ
もっとみる『Confirmation: fractalized』 fractanisharmonicoo
だいたいにおいて人は学部2年生ぐらいの頃に電化マイルスにのめり込む。別にアンケートを取ったわけでもないので知らないが、まあたぶんそうだと思う。あの、さりげなく意味ありげで呪術的でオリエンタリズムを刺激する、ときどきめちゃくちゃ面白くてしばしば結構グダグダになり、とにかく所要時間が長く集中力が必要で、しかもたしかにそこで他のどこにもない何かを見つけ出そうとしている野心的なコンテンツに正面切って向き
もっとみる残響 東方プログレッシヴ・ロック合同
(2016/05 例大祭13発行、表紙 水田ケンジさん(AQUARIA MUSICS))
合同誌にはディレクションの強いものと弱いものがあり、このグラデーションは読み手から見た作品の統一性の強弱、書き手(特にビギナー)にとっての福祉の範囲の弱強をそれぞれ大まかに規定します。それらの総合がコミュニティに対して還元する影響の質と量と部位を決定します。
この本は前者です。たぶん僕には前者しか