やりたいこと全部やって
BTSを知っていけばいく程、しばしば耳にする言葉がある。
“〇〇の好きなようにやりな”
“〇〇が思うことをやって”
そして
“〇〇がやりたいこと全部やって”
ジミンちゃん→テヒョン氏
2020.1.27 V LIVEより
ホビさん→ジョングク
BTS (방탄소년단) Jung Kook's BE-hind ‘Full’ Story
YouTubeより
スタッフさん(字幕)→テヒョン氏
Run BTS! 2020 - EP.113より
彼らが普通に会話をしている時もメンバー同士でこういう類の言葉をかけあっているのをよく見るし、公式動画を見ていてもそういう字幕を見るので、スタッフさんからメンバーにも頻出の言葉だと思う。
彼らを推す今では、こういう言葉をお互いにかけあう場面を見れば 「なんて優しい関係性なんだろう!!!」とほっこりしたり感動したりする。
のだけど……………
スーパーウルトラDynamite超ド級に捻くれた性格をしている私は、こういう言葉をかけあっている場面を1番最初に見た時、正直なところ、一瞬だが 真逆のことが頭をよぎってしまった。
“やりたいこと全部やって”か……
それって正直、“あぁ〜もういいよ わかったわかった もう勝手にやんなよ”的な 諦め、
もしくは、“真剣に考えるのも面倒臭いし それ直接的には自分に関係ないし”的な 関心の薄さも含まれてるよねえ……………
うん、我ながら本当に拗らせ過ぎだ。
「あなたが幸せになるために、あなたのやりたいようにやってほしい」が「いや、別にこちらには知ったこっちゃないんで、お好きにどうぞ」くらいに勝手に脳内変換されていたのだと思う。
捻くれ過ぎていて自分で自分が怖い。
私ってば笑えるくらい最低だなハハハッ(真顔)
どうやら私は “優しさ” や “思いやり” 、そして “素直さ” といったものを生まれる時にまるっと忘れて来たらしい。
でも、その忘れ物、結構 致命的なんですけど??
神様は何で「忘れ物ない?ちゃんと持った?」って指差し確認してから現世に送り出してくれなかったのよ??
私、人生1周目の人間初心者なんだから、装備品の確認は必須でしょ???
おかげで現世で「対人関係 絶望的なう」なんだけど???
ねぇどうすんの?? どうすんのよ???どうしてくれんのよ???? え????? (知らんがな by.神)
もちろん言葉はその時々の場面や言い方によって全く違う印象が生まれるので 一概には言えないとは思うけど、彼らの優しさや思いやりから派生しているであろう言葉ですら 一瞬でもこんなに穿った捉え方をしてしまった自分が恥ずかしくなった。
しかし、彼らを見ていると 今ではこんな私にも少しずつわかり始めている。
“やりたいこと全部やって” という言葉の本質みたいなものが。
まず、この言葉、心の底から言うとなると、相手を信頼していないと絶対に言えない言葉なのだな、ということ。
だって、もしどんなに関係性が濃い相手であっても「こいつぁ、もしかしたら越えてはいけない一線を越える奴かもしれない、ぶっちゃけ信用ならない」と思う人に対して “やりたいこと全部やって” という言葉は危険極まりなくて言えない。
そう考えると、“やりたいこと全部やって” と言えるのは、例えそれが失敗したり思うようにいかなかった場合でも他人事じゃなく自分の事として捉えて 責任や感情を共有できる、共有したいと思える相手にだけなのだろう、と。
そして、この言葉、受け取る側の姿勢もかなり重要だ、ということ。
発する側が心の底から「あなたのやりたいことをやってほしい」と願いながら言葉にしたとしても、上記の私のように拗らせて捻くれて受け取ってしまう人には まあ1発では響かないだろう。
保証する。私が言うのだから間違いない。
思いやりの言葉を皮肉としてしか受け取ることができない人間もこの世にはいるのだ。
多分その人達も神様からの装備品の指差し確認を忘れられた人達なんだ……お互いドンマイ………(まだ言うのかしつこいぞ by.神)
ところがどっこい、見てくれ、上記のタルバンのシーンでユンギ氏に「おまえがやりたいならやろう」と言われた時のテヒョン氏のこの表情を。
いや、うん、申し訳なくなる程 私のスクショの技術が皆無なのはどうか今はツッコまないでほしい……
だけど、それを差し引いても、このテヒョン氏は 嬉しいという気持ちが画面越しでも伝わってくる良い笑顔だ。
“やりたいこと全部やって”
言う人は、相手を信頼し、自分の事のように相手の喜びや幸せを願うことができる人。
言われる人は、自分を受け入れてくれた時に素直に喜び、相手の優しさを優しさとして受け取り感謝できる人。
捻くれを極めている私からすると、それらは全部やろうとしても怖くてできないことばかりだ。
だから、それができる人達はとても強いと思う。
戦隊モノなどで「本当の強さとは力の強さなんかじゃない!相手を思いやる優しさなんだ!!!」という類のセリフは聞いたことがあるけど、あれってめちゃくちゃ真理をついている。
BTSを見ていると優しいって最高に強いと思うのだ。
優しさや思いやりというのは 本来なら「生まれる前に忘れて来た」とか「神様が装備品確認しなかった」とかではなく、生きていく中で間違いながらも少しずつ学んでいくものだということは私にもわかっています、わかっているんですよ、えぇ。
でも、私はこの歳になっても自分の怠慢によってそれが全然身についていない。
だから、彼らの言動の中にこういう優しさを見つけるとその度にハッとする。
でも、そんな彼らでさえ、初期の頃には、例えばゲームで失敗したら「馬鹿じゃないの?」と今より強めに相手を責めていたり、何というか、端的に言うと、優しさというものとは無縁の姿も残っている。
そういう姿を見ていると、私は最初から7人全員が優しさを持ち合わせていた訳ではないと思うのだ。
彼らはBTSとして活動していく中で、何もかもが違う個性派揃いの7人がまとまるために、そして、矢面に立たざるを得ず 危険や傷付く状況を繰り返した結果 自分や自分の大切な人達を守るために、この優しさを身につけていったのだろう。
“やりたいこと全部やって” と言い合える関係になるまで、相手を知り、受け入れ、信頼することを諦めずに積み重ねてきたのだと思う。
彼らが魅力的なのはビジュアルやパフォーマンスだけではなく、この優しい強さも大きな要因だと思う。
だからなのか、私には彼らのことを「かっこいい」「可愛い」などという感情の他に、「彼らになりたい」という感情も正直ある。
ダンスや歌が上手いからではなく、外見が美しいからではなく、彼らのような優しい強さが欲しいからBTSになりたいという感情。
彼らを推すことで、私はようやく今、「優しさとは」「強さとは」の本質を1つずつ目の当たりにして学んでいるような気がする。
はたしてそれで私自身も優しくなれるのか、強くなれるのか、それはわからないけど、
“バンタンのやりたいこと全部やって”
彼らのことを知っていく度にそう願わずにはいられない。