しんどいなぁなんて思ってんの髭男にバレてるみたいだ
Official髭男dism『Clessboard/日常』発売
日本テレビ「news zero」テーマ曲『日常』がストリーミングで配信された次の日の朝のこと。
LINEのお知らせやインスタの通知で「あ、そっか、新曲配信始まったんだ」なんて、ぼんやりと思ったあの朝。
通勤しながらSpotifyで何気なく再生してみたあの朝。
泣いてしまった。
今から職場に行くのに、今から1日働かなきゃいけないのに。
自分でもびっくりした。泣くつもりなんて微塵もなかったから。
もしかしたら「おはようございます」といつも通りに出勤したつもりでも 少し目が赤く腫れていたことが職場の同僚たちに勘付かれていたかもしれないあの日の朝。
きっと自然に涙したのは「日常」が あまりにも「髭男」だったから。
わたしの知っている、暖かくて優しくて、いつも隣にいてくれる髭男の音楽だったから。
わたしが今まさにしんどいなぁなんて思ってんの髭男にバレてるみたいやんけ〜〜〜!!!
あまりにタイミングが良過ぎて。
もしかしてわたしのことをどこかで撮影していて毎日ずっと見てました???
それか、毎日 帰宅後に家で「あの上司 クソが〜〜〜ッッ!!!!!」と叫んでるの東京まで聞こえてました???
それくらいに間の良さにびっくりした。
わたしの考えていることが完全にわかられている感覚。
音の一つ一つがわたしの味方だと思えるほど、丁寧に丁寧に作られたんだなということが伝わってきた。
この部分の歌い方は、特に、何だろう、もうこれ以上ないなってくらいに完璧にわたしの気持ちだった。
わかってくれてる人がいるという嬉しくて安心する気持ちと、こんなにダメージを負っていることを大切なあなたに見透かされていることが情けなくて恥ずかしい気持ちと、全部ひっくるめた あの「しんどいなぁ」の歌い方。
毎日は繰り返しだ。
同じ時間に起きて、同じように身支度をして、同じ時間に家を出て、同じルートで職場に向かって、同じように仕事をこなして、同じように嫌なことがあってそれでも耐えて、同じように帰宅して、同じように1日を終える。そしてまた同じように朝が来る。
自分の日常の何が不満なのかと言われても明確には答えられない。
だけど、このままではダメだ、ということはわかっている。
同じ時間に家を出たはずなのに渋滞にはまって遅刻しかけたり、
お昼ご飯を買いに行ったコンビニで長蛇の列に巻き込まれたり、
いつもは褒めてくれない上司が「あなたがいてくれて助かった」と突然褒めてくれたり、
いつもはしないミスをして「何やってんだ」と同僚から飽きれられたり、
言いたいことが全く言葉にできなくて何度も飲み込んだり、
仕事終わりの家で飲むビールが格別に美味かったり、
ベッドに入ったのに何分も何時間も寝られずしんどかったり。
そうやって、いつも通り何も変わらない日常を、正確には少しずつ少しずつ毎日違う日常を生きているだけ。
誰かにとっては まるで取るに足らないことに真剣に悩んで苦しんで今にも押しつぶされそうになっている。
逃げたくて投げ出したくて仕方がない毎日に、細やかな幸せを必死で塗りたくって、何とか誤魔化しているわたしの日常。
『日常』Recording Documentのインタビューで大ちゃんが言っていた。
曲を聴いて何か正解が欲しい訳ではないのだと思う。
というか、自分にとっての正解は何となく、誰かに言われるまでもなく、すでにわかっているような気さえする。
メロディラインは一聴すると派手な展開もなくて めちゃくちゃ単調なような気がするけど、いざ自分で歌ってみようとすると気付く。少しずつ細かく音の流れが違っていて、正確に歌うにはなかなか神経を使うこと。
曲終わりがフェードアウトで終わっていくこと。
1個1個 間違えないように手放さないように必要以上に気を遣いながら、特段変わり映えはないのに、それでも変わっていってしまう、良くも悪くも続いていく、まるでわたしの日常みたいだ。
周りの声が大きく聞こえ過ぎて、自分の気持ちがどんどんわからなくなる。
「嫌だなあ…」の気持ちも、それが毎日続けば段々と麻痺してきて、「もしかしてわたしそんなに大変じゃないのかも」なんて思えてくる。
『日常』Recording Documentのインタビューでちゃんまつが言っていた。
わかってくれる人がいるから、ようやく息ができる。
自分でも気付かない間に浅くなっていた呼吸が、やっと体全体に染み渡る。
だからといって、誰かに助けて欲しい訳じゃない。何かをどうにかして欲しい訳じゃない。
わたしの人生なのだから、自分でどうにかするしかない。
どうしようもなくたって、まだ、どうしても、わたしは自分で自分を諦めないでいたいからだ。
髭男の音楽が、またひとつ、大切なことを思い出させてくれた。
今回もグッドミュージックをありがとう。
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