はじめましてBTS
2021 FESTA動画でナムさんが言っていた言葉。
“どうやってARMYになったのか、お一人お一人のエピソードが気になります”
“その方の夢は何か、どんなお仕事をされているのか、どこに住んでいて、どんな生活なのか、そういったことが一人一人気になります”
大して面白みもない、世界中のどこにでもある ありきたりな話でも、何故か彼らならちゃんと聞いてくれそうな気がする。
だから、完全に自己満足だが、私も“Speak Myself”としてここに記しておく。
この文章に辿り着いた方はどうか生暖かく見守って欲しい。
簡潔に言うと私はDynamite新規だ。
しかも彼らを認識したのはDynamiteのカムバックからも遅れること約4ヶ月。
多分その日までにもDynamite自体は耳にしていたと思う。ぼんやりと「この曲 今 流行ってるんだな」という認識程度で。
BTSもそのグループ名は以前から聞いたことがあって、Stay Goldを音楽番組で歌っているのを見たこともあった。
しかし、その時は「この人たち韓国のアイドルなのね、へえ〜、K-POPって全然わかんないし、そもそもみんな同じ顔に見えるんだよな」と思っていた。
もし今の私がその時の私に会えるなら「大外刈りからの背負い投げ〜〜!!!」と私の中のIKKOさんが激怒し、小1時間は正座をさせて説教をかますだろう。
若しくは、私の中のヤンキーが「あん?おめぇ何をほざいてやがる?ちょっとツラ貸せや」と体育館裏に呼び出してボコボコにするだろう。
当時は、それ程までに全く以て気に留めていなかった存在、それが私にとってのBTSだった。
今思えばきっと「出逢う」タイミングはDynamiteより以前に幾らでもあったと思う。
なのに、どのタイミングもスルーをし続け、私が彼らと初めて「出逢った」のは、とある休日だった。
1日中家にいてYouTubeを見ていると、急に目に飛び込んできたのは、言わずと知れたDynamiteのMVのサムネイル。
ちょっと1回見てみようかな、そう思って深く考えずに再生したのが全ての始まりだった。
どう考えても 牛乳の子 がかっこいい。
今まで生きてきて見た人類の中で1番かっこいい。
この牛乳の子の美しさ、まさにDynamite級。え、本当にどういうこと??何この 牛乳の子。
2次元か?もしや精巧なAIなのか?何でこんなに整っている??は?待って、わからない、ちょっと処理できない、何故こんなに美しい????
私と全く同じルートを辿った人がどれだけいるのだろうか、多分めちゃくちゃいる、間違いなくとんでもない人数の同志が世界中にいる。
そう、何を隠そう私も、牛乳の子 こと チョンジョングクが、口元の牛乳を拭ったあの瞬間、完全ノックアウトされたクチなのだ。
とはいえ、私はとても捻くれている性格なので、すでにノックアウトされたにも拘らず「まだ、まだ私は落ちてない、まだだ…!!!」と往生際が悪くすぐには沼落ちを認めなかった。
その証拠がこれだ。
Twitterにこうツイートした当時の私。
あんなに衝撃を受けた 牛乳の子 の件には一切触れていない辺り、「私はDynamiteという曲が好きなだけであって、メンバーには全然興味はありませんよ」感を凄く出そうとしている。
今となっては「それ、無駄な足掻きだよ〜」と我ながらニヤついてしまうが、この時はまだこうして澄まし顔をできる余裕があったみたいだ。
そして次のBTSに関するツイート。
陥落したようだ。無事に沼落ち。
認めざるを得なかったらしい。牛乳の子の名前を覚えるどころか、この頃にはメンバーの顔と名前は完全一致して、各メンバーのキャラも学び始めていた。この時点でもうすでに「メンバーには全然興味はありませんよ」は無理がある、と自覚せざるを得なかった。
ちなみに、その3日後のツイート。
この3日ですっかりリミッターが外れたようだ。
沼 真っしぐら。もうすでにグクジンの話をしとるがな。
その2日後のツイート。
2度目の陥落をしたようだ。ついに認めた、キムソクジンがかっこ可愛いということを。
とは言え、実は、肝心のジンペンになった決定打を自身で全く覚えていない。なんてことだ…………
ただ、気付いた時にはキムソクジンは私の最推しとなり、ズブズブに虜になっていた。
その後もメンバー全員を知れば知る程、最初に抱いた印象とはガラリと違う魅力を 芋づる式に次々と発見していった。
JIMIN こと パクジミン。
Dynamiteでジョングクの次に覚えた人。特徴のある歌声とダンスは初見から目も耳も完全に奪われてしまった。
よく喋る子だなという最初の印象から、言葉を選びながら常に他人を気遣い敬う心を持った人一倍優しい人 という印象に変わった。
SUGA こと ミンユンギ。
DynamiteのMVで手を叩くあの一瞬だけで笑顔が可愛いと思った。
テンションの低い無気力な子だなという最初の印象から、大きな音楽愛と闘志を誰よりも燃えたぎらせている 最高に熱く最強に頼れる人 という印象に変わった。
J-HOPE こと チョンホソク。
ダンスのことなど1mmもわからないド素人でもDynamiteのMVを見ただけでこの人のダンスは素敵だと思った。
声が大きな子だなという最初の印象から、他のメンバーをよく見ていて褒めたりフォローしたり メンバー内の中間管理職を器用にこなす見事なバランサーの人 という印象に変わった。
V こと キムテヒョン。
DynamiteのMVを見た後に他の動画を見ても同一人物だと全く結び付かなかった七変化の人。
見たことがないレベルの自由人だなという最初の印象から、その一見すると自由な言動の中に他人への深い愛を含んだ 誰よりも強い信念を持っている人 という印象に変わった。
RM こと キムナムジュン。
DynamiteのMVではスタンドマイクでのウインクにやられた。
少し怖い人なのかなという最初の印象から、リーダーとして強個性軍団をまとめる立派な大黒柱にも拘らず お茶目で可愛らしい一面を持った人間味溢れる人 という印象に変わった。
JUNGKOOK こと チョンジョングク。
Dynamiteの牛乳の子。
クールガイなのかなという最初の印象から、純粋で猪突猛進型で 驚く程 器用なのに 驚く程 危なっかしくて 自分にとって大切なものを全身全霊で大切にできる人 という印象に変わった。
JIN こと キムソクジン。
DynamiteのMVでは正直 全く目で追えてなかった、ジンくん、ミアネヨ。
大人しそうな子だなという最初の印象から、人を楽しませることに重きを置き 努力を重ねる姿を見せようとせず 何かを諦めているような達観したところもあり 誰よりも視野が広く 誰よりも掴みどころのない人 という印象に変わった。
何はともあれ
“ もう無理です。大好きですBTS。”
という域まで、私は1ヶ月もかからずに到達した。
わかっている、ナムさんが聞きたいと言っていた話はこんなチョロい女のミーハー話ではないだろう。
「事実は小説より奇なり」とよく言うが、前述の通り、私の「彼らとの出逢い」の場合は真逆だ。なんてありきたりなんだろうか。もし小説のように自由にフィクションを描けるなら、もっと個性的に、運命的に、劇的に、彼らと出逢いたかった。
だけど、これが私にとっての事実だ。
そして、このありきたりな事実によって、今の私は毎日が少し楽しい。
同じ時間に起きて、仕方なく身支度をし、仕方なく出勤をし、仕方なく労働をし、家に帰り、食べて寝て、また同じ時間に起きる………
多くの社会人が送っているであろう、このルーティンを私も毎日こなしている。
夢もなければ目標もない。やりたいと思うことは定期的に浮かぶものの、それを実現するための資金もなければ気概もない。
コンビニで少しお高めのスイーツを買う、とか、週末はお酒を飲む、とか、ボーナスが出たら少し良いアクセサリーを買う、とか、ささやかなご褒美という名の人参を鼻先にぶら下げながら、どうにかこうにか毎日を繰り返している。
とはいえ、この毎日は自分が選択してきた結果で、完全に自業自得だということも自覚している。
しかも、こうして 自身の境遇を嘆くのにも体力を使う。
だから私は自分の毎日に対して「無」になろうと思っていた。
もう疲れるのも傷付くのもこりごりで、頑張らないことを頑張る人生を送りたい、そう思っていた。
そんな私も、彼らと出逢ってしまった。
自分より歳下の子たちが、人生を賭けて血の滲む努力を重ね、誰より酸いも甘いも経験して、結果的に誰も追いつけない程の世界的トップスターにまで上り詰めた。
文章にすると簡素になってしまうのが凄く悔しくなってしまうくらいに、彼らの歩んできた道筋は、知れば知る程、彼らの覚悟と努力によって、比類ない程にドラマチックだ。
だからだろうか、彼らを好きになった今でも、彼らのことを「生き甲斐だ」と言うには 自身とのコントラストがあまりにも激し過ぎて 私にとっては少し過言な気がしている。
では、今の私にとってBTSは何か。
元々音楽を聴くことが趣味の私には好きなバンドがいるが、
そのバンドが 私にとって 化粧水や乳液のように、欠かすことのできない“基礎化粧品”だとしたら、
BTSは 私にとって アイシャドウや口紅のように、平たい顔族のこの顔に彩りを加えてくれるメイク道具がたくさん詰まった“クリスマスコフレ”みたいだと思う。
そのアイシャドウや口紅は 側から見れば私には全然似合っていないかもしれないし、
初挑戦の色を追い求めている今の私の姿は「いい歳こいて痛い」かもしれない。いや、実際に周囲からは確実にそう思われているだろう。
しかし、年に1度 息が白くなり始めるあの時期に「今年はどんな綺麗なものに出会えるだろう」と胸が躍って仕方がない、あの“クリスマスコフレ”をチェックする時の気持ちと同じようなワクワクが彼らにはある。
彼らを好きになり、彼らの活動を追うことによって、見たことがない世界を垣間見て、知らなかったことを知り、気付けなかった自分の感情に気付き、間違いなく楽しいのだ。
劇的に何かが変わった訳ではない。前述の通りの退屈なルーティンをこなす毎日は今も淡々と続いている。
でも1つ違うのは、そこには最高にキラッキラした“クリスマスコフレ”を身に付けた私がいる。
それは今の私にとってはメンタル無敵の鎧で、自分で自分のテンションを上げるための最強アイテムなのだ。
似合わなくてもいい、笑われてもいい。
この“クリスマスコフレ”のおかげで、今、私は「無」一色だった毎日を手放さずに、諦めずにいられている。
私はまだBTSのことを何もわかっていない。
過去の活動も楽曲も人間性も、膨大に供給されているコンテンツを網羅できず、とにかく知らないことだらけだ。
そして、私の毎日には今も相変わらず、夢もなければ目標もない。
それでも、いつか彼らに会いに行きたい。いつか彼らに感謝を伝えたい。いつか彼らが旅を終え着陸する時を見守りたい。
そんな夢とも目標とも言い辛い、淡い想いが芽生えてしまった。
これが今の私だ。
はじめまして BTS、そしてこれからもよろしくね 私の愛しい“クリスマスコフレ”
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