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【メンバーシップ限定記事(一部無料)】 ACT - Journey14 ACTの限界、批判、倫理的考察:理論的・実践的側面からの再評価

新年明けましておめでとうございます。今年のご挨拶はメンバーシップ内や別記事で別途させていただければと思います!

はじめに

 これまでのJourneyでは、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の理論的背景から、主要なコアプロセス、臨床的及び非臨床的領域への応用、他の第三世代行動療法(DBT、MBCT、FAP)との比較、さらには教育、組織行動、健康行動変容など、多方面にわたるアプローチの展開を追いかけてきました。ACTは、心理的柔軟性という統合的な目標を掲げ、マインドフルネスやアクセプタンスの概念を駆使することで、内的経験を必ずしも制御・抑圧・変容しなくても価値ある行動を可能にする枠組みとして評価を得てきました。うつ病や不安障害、PTSD、慢性疼痛、物質使用障害、身体疾患、教育現場、組織行動など、多領域で応用され、その効果が示唆されています。

しかし、ACTが決して万能でないこと、問題なく機能する完璧なモデルではないことも事実です。どのような理論や治療法でも、その限界や適用の難しさ、理論的・実践的な批判、そして倫理的・文化的な問題は必ず存在します。科学的アプローチにおいては、こうした限界や批判を真摯に受け止め、改善や発展の契機とすることが不可欠です。ACTも例外ではなく、第三世代行動療法としての地位を確立しつつある一方で、多くの課題や難点が議論され、研究・臨床現場での再評価・改良への試みが続けられています。

今回のJourneyでは、「ACTの限界、批判、倫理的考察」に焦点を当て、ACTが直面する課題や理論的・実践的問題点、ACTへの批判や懸念、そして倫理的側面や文化的配慮の重要性などを、できる限り総合的かつ詳細に検討していきます。この検討を通じて、ACTが既に広く普及し、エビデンスを蓄積しているとはいえ、発展途上の領域やさらなる研究・改善が必要な領域がいかに多いかを明確にし、今後の発展や洗練に向けた指針を示すことを目指します。

ACTに対する理論的批判

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