RADWIMPSの「正解」を聴いて~卒業生への言葉~
RADWIMPSの曲『正解』が5年越しにリリースされます。
音楽ナタリーに、野田洋次郎さんのコメントが書かれています。
私はこの曲が大好きです。18祭のYouTubeを見たとき、歌詞にも感動、泣きながら歌う子たちにも感動していました。
歌詞を聞いていると、「答えがない問いにどうかかわり、どう生きていくのか?」を思い起こさせます。
以前,この曲を群馬で小学校の先生をしている峯岸昌弘さんに紹介すると、峯岸さんが、卒業生に向けての言葉に、この『正解』を紹介していました。
それを読んで、「私も卒業生に向けてのお手紙で紹介しよう」と思い、峯岸さんの通信を真似て、卒業式に配る最後の学級通信を書いたことがあります。
※この文章は峯岸昌弘さん、飯田信弘さん、そして佐竹重泰さん(東京)の「1時間でもたのしい授業を 子どもたちへの「お別れのメッセージ」」(『たのしい授業』2018年02月号 [ No.473 ])もマネて作成しています。
卒業生のみんなへ
いよいよ今日で6年生も終わりですね。
朝,教室にいるみんなにもう
「おはよう~」と言うことがもうできないのかと思うと,
…とてもとてもさみしいです。
私にはあっという間の一年間でした。
みんなと出会うことができて,私は幸せでした。
毎日夢中でみんなと関わってきたので,
その時はなかなかその幸せを感じようとすることはできませんでしたが,
こうして一年間を振り返ってみると,
毎日みんなと笑って過ごした楽しい思い出ばかり。
改めて6年〇組の担任になれてよかったな~と,思っています。
卒業を迎えたあなたたちに,2つ伝えたいことがあります。
1つ目は「節目を大切に」です。
人は節目ごとに生まれ変われると思っています。
そう考えると,
私も節目節目ごとに生まれ変わってこられたと思います。
私の中学校の思い出を紹介します。
中学校の時,
私は学年集会で行う社会問題の劇に参加してみたり,
修学旅行でやるクラスの出し物で行う劇の脚本を友達と作ってみたり,
体育祭の応援団に参加してみたり・・・といろいろな事を経験しました。
そんな経験から
だんだん「中学校って楽しい!!」と思うようになったと思います。
もちろん,小学校生活も楽しかったです。
しかし,私にとって中学校とは
本当にいろいろな刺激を与えてくれた場所でもありました。
私は小学生の時,将来の夢をたくさん持っていました。
低学年の頃は「薬剤師」,
そして高学年になるにつれて「イラストレーター」や「アニメ関係の仕事」などなどです。
しかし,中学校生活で取り組んだことや,
勉強・友達との人間関係・はたまた恋愛など様々な経験をしたことで,
「学校って,本当に楽しいところだなぁ~」という思いが増していったのです。
そして,中学校卒業間際には,
「いつまでも『学校』という場所にいたい&
いつまでも楽しく過ごしたい」という気持ちから,
将来先生になりたい!となったのでした。
つまり,私の「先生になりたい」というきっかけは,
中学校生活で起こったものでした。
このように考えてみると,「中学校入学」という節目が,
私の将来を決めたとも思います。
人生には様々な節目があります。
それをチャンスととらえてほしいなと思っています。
2つ目はRADWIMPSの「正解」という曲です。
私は,6年生担任が決定した時すでに
「卒業式最後にこの曲を紹介しよう」と思っていました。
もちろんその年の思い出だから,今年度に関係した曲…とも考えましたが,
やはりこの曲を最後に紹介したかったのは理由があります。
私は今年一年,あなたたちに様々な授業をしてきました。
《もしも原子が見えたなら》や《水分子の冒険》《宇宙への道》《差別と迷信》《生物と種》《磁石》‥‥たくさんの授業プラン。
私は、この授業を通じて,
みんなが 〈友だちのスバラシサ〉 を発見してくれたり,
「ぼくの考えもなかなかいいみたいだぞ」とか,
「あっ,私の意見で予想変更した」などと
〈自分のスバラシサ〉 を発見してくれたり,
「科学ってたのしいな」と思ってくれたらいいな,と
思いながらやってきました。
みんなはこれらの授業の中で大人も間違えるような問題をといたり,
自分の考えを説明したりしてくれました。
そういうみんなをみて
私は毎回「本当に素晴らしいなぁ」と思っていました。
なぜなら,私には思いもつかない考え方があったり,
昔の科学者の考え方と同じものが,たくさん入っていたりしたからです。
また発表したり,意見を言っている人だけではなくて,
授業中は何も言っていない人も,
感想文を読むとたくさん考えていることが書いてあったりしました。
毎回みんなの感想文を読んで感動していました。
みんなもきっとこれからの人生で ,
色々な難しい問題に出会い,そして悩むと思います。
世の中にはあらかじめ答えが用意されている・すでに答えがわかっている問題ばかりではないですし,
むしろそういう問題の方がたくさんあります。
そんなとき,世の中や周りの人にふりまわされて,自分らしさをなくさないようにしてほしいと思っています。
もしそのようなことがあったら6年生で学習した「科学の授業」を思いだしてみてください。
どんなに正しそうなことを言っている人だって,間違っているかもしれません。
自分の考えの方が,もしかしたら正しいかもしれません。その答えを知るには,実験してみるしかないのです。
どんなに難しい問題に出会ったとしても,落ち着いて予想を立ててみてください。
うまくいきそうになかったら,予想を変更すればいいのです。
そして,実験して確かめてください。(ここでいう「実験」というのは,「予想した結果を見ていく」ということなのです)
人はなぜ勉強するのか?…それは,予想を立てて実験をしていく,そして難しい問題だったらみんなで知恵を出し合って考えて答えを探る…。
そのようにして考えて未来をつくることのできる人間になるため と
私は思っています。
そして,どんなことが起ころうとも「どちらに転んでもシメタ」です。
もちろんそんなにすぐにシメタが見つからなくても,必ず「シメタ」と思えるものがある とも思っています。
一年間学んだ経験や,学級目標「どちらに転んでもシメタ」は,みんなの心の中ではまだまだ小さなタネだと思います。
その小さなタネを,自分たちで育てていってほしいなあと思っています。
みんなの心にまかれたタネが,どんな花を咲かせるのか,とても楽しみにしています。
ただ…みんなが花を咲かせた時,おそらく私はいないと思います。
しかしみんなの美しい花をみて,影響される人はいると思っています。
学んだことが次の世代につながっていくと思うと,とてもすてきですし,なんて明るい未来なんだろうとも予想をしています。
一年間,6年〇組のみんなとすごせて本当に楽しかったです。ありがとう。
そして さようなら。
仮説実験授業提唱者である板倉聖宣さん(1930-2018)は『たのしい授業への思想』(仮説社)に、このように書かれています。
そういう時代だからこそ,いろんな考えを持って生きていきたい・生き抜いていきたいな と思います。
そして、こちらの文章をもとに…今年祝電を作りました。
ちょっと長いかな…と思いつつも、書いちゃいました笑。
一人一人の人生は、楽しく明るく、ステキなものになっていきますように。
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