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鉄棒運動の技の練習方法聞きました~練習動画あり~
●鉄棒運動やってます
毎年ある「鉄棒運動」の授業。
子どもの頃、たのしく鉄棒の授業を受けていたし、放課後鉄棒で遊んでいたく私は、鉄棒について特に苦手意識はありません。
しかし、
「受けていた・遊んでいた・できる技がある」けれども
「それを子ども達に教える」というのでは、だいぶ違います笑。
また、高学年を担任していると、
「鉄棒嫌だ。やりたくない」「できない」「楽しくない」といって、鉄棒の近くでおしゃべりしている子達に「はいはい。技をやってみるよー」というのも至難の業笑
どうやって教えたらいい?
そして、どうやったら子ども達が「やってみたい」という気になる?
ということを考えながら、授業をしていました。
●技につながる動きを入れてみた
以前、校内研究で体育をしていた学校に赴任した時、
学年の先生たちと
「学習前に鉄棒運動に必要な運動を学習前に入れるといいかも」と、
校庭にある遊具をつかい3分間ほどマラソンをする…
という「アスレチックマラソン」(この時はこう呼んでいました。これが正式名と言うわけではありません)をしていました。
※ちなみにアスレチックマラソンは、ただ走る というのもオッケーですし、自分ができそうな遊具を選んで行う というのもオッケーです。
そのあたりは結構子ども達にゆだねられています。
毎時間、授業初めに行った後、体育ノートに点数を書き、
その後鉄棒運動を行っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738474405-LP9d5VlNo1cEjIqRA0ixSs8G.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1738474984-vKHMsV03EaxI4yilStOB2W7P.png?width=1200)
この時の、鉄棒運動(1時間)の授業の流れとしては、
活動①アスレチックマラソン
活動②鉄棒運動
です。
アスレチックマラソンについてはそんなに嫌がることなく、
楽しく子ども達が参加してくれました。
ですから、峯岸さんの講座に出るまで(下記に記載)
アスレチックマラソン→鉄棒運動と言う流れで授業を行うことが多かったです。
●たのしい鉄棒運動への道
そんな私に、「これはいい!できそう!」と思えることが現れました。
それは、仮説実験授業フェスティバル(愛知・刈谷)で、
峯岸昌弘さん(群馬・小学校)の体育講座を受けたときのこと。
峯岸さんは、仮説実験授業研究会に所属しています。
その中で〈たのしい体育〉の実践を行っている方です。
ちなみに文科省のYouTube動画に、跳び箱運動について紹介していますよ♪
講座では、マット運動・鉄棒運動・跳び箱運動を行いました。
鉄棒運動での「みんなでトレーニング」がすごく良かったんです。
![](https://assets.st-note.com/img/1738476161-h9uyfxlCjd06kg3mEOB8Poia.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738476210-O9TMrQhPHAU3lFfv6zGsJkwC.png?width=1200)
トレーニングはたくさんあります。
「つばめ」「浮き支持三回」「空気イス」「ハンバーグ」…
やり方はクラス半分に分け、
いくつもあるトレーニングをやってもらいます。
一つのトレーニングで大体30秒くらい?かな。
もちろんできなくても大丈夫。なんとなくできていればオッケー。
とにかく次々に交代します。
ですから「このトレーニングをここまでできないとだめだ!」なんて
叱ることもないので、結構キラクに行えます。
「はい!次はつばめー。おー上手―!!はいこうたーい」
「次はツバメじゃんけん、いくよー。最初はグー じゃんけんぽーん」
「勝った?負けた?あははは。じゃあこうたーい」
みたいな?
もちろん、アスレチックマラソンも好きですが、
私がこのトレーニングを体験してみて、
「いろんな運動感覚を養える。そして鉄棒運動をたのしく取り組めそう」って思えたんです。
それからというもの、
活動①みんなで鉄棒のトレーニング
活動②鉄棒運動
という流れで1時間の授業を行っています。
峯岸昌弘さんの本『たのしい鉄棒運動への道』(私家版・オレンジ資料館)には、この「みんなで鉄棒のトレーニング」についてこのように書かれています。
個々の能力が大切な器械運動のような課題でも、「子どもたちが伸びる瞬間は、集団活動の中にある」と確信をもつようになりました。
どんなに優れた指導法でも、個別のトレーニングで伸ばすには限界があります。
特に、その子にとって「できる」目標が、はるか遠くにしかないとき、身近なトレーニングは苦痛でしかないでしょう。
ところが、「みんなでトレーニングをする」となると、なんとなくできた気がして、意外と苦痛も少なく、気がついたら繰り返しやっていて、思わずできていた!...という風に突破できてしまうことがあるのです。
そんな、集団がつくってくれる雰囲気を十分に使って、手の届きそうな「できる」を積み上げていけるような授業のかたちを、より鮮明にして提案していくようになりました。本書では、鉄棒運動プラン②「みんなで鉄棒のトレーニング」というものが、特にそれに当たると思います。
これは、鉄棒の技をする前半の時間を使って取り組む課題を集めたものです。その後にチャレンジする「技」ができるようになるために必要な様々な動きや感覚を、子どもたちに「育む」ための課題の集合体になっています。
これは「まさにそう!」と思えました。
トレーニングをすることで、
鉄棒運動で必要な動きや感覚を育みながら、
「技ができそうかも?」「何となくできるようになってきた」という雰囲気が作れるようになってきたなーと思います。
なぜなら、高学年の女の子たちが、
休み時間率先して鉄棒をやり始めたり、
逆上がりができるようになってきたりしてるからです。
そうはいっても鉄棒が苦手な子もいます。
しかし、そんな苦手な子達も「なんとなくやってみようかな」と思えるような授業ができる のです!
※詳しいトレーニング内容や逆上がりについての授業プランなどは、
峯岸昌弘著『たのしい鉄棒運動への道』(私家版・オレンジ資料館)に掲載されています。(私家版には練習動画のQRコードもついています)
●高学年の技
さてさて、【体育編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 126ぺには、鉄棒運動の技(高学年)が記載されています。
[支持系 前方支持回転技群 前転グループ発展技の例示]
○ 前方支持回転(更なる発展技:前方伸膝支持回転)
○ 片足踏み越し下り(更なる発展技:横とび越し下り)
[支持系 前方支持回転技群 前方足掛け回転グループ発展技の例示]
○ 膝掛け上がり(更なる発展技:もも掛け上がり)
○ 前方もも掛け回転
[支持系 後方支持回転技群 後転グループ発展技の例示]
○ 逆上がり
○ 後方支持回転(更なる発展技:後方伸膝支持回転)
[支持系 後方支持回転技群 後方足掛け回転グループ発展技の例示]
○ 後方もも掛け回転
○ 両膝掛け振動下り(こうもり振り下り)
後方支持回転、前方倒立回転、こうもりふりおり…は
子ども達にとっては結構人気の技。できたら「すごい!」「かっこいい」となるくらい(しかし、できないといってあきらめる子達も多い)
そうそう、昔は私も後方支持回転はできていたんです。
しかし、練習方法は?コツは?と聞かれても
「…うーん」となって、「教える」ことについては、全く何も伝えられない。鉄棒を感覚でやっていた気がする…。
これは困った💦
●聞いてみた
そうだ。峯岸さんなら教えてもらえるかも?と思い、
連絡をしてみました。
子ども達が「どんな練習方法があるの?」「コツは」と聞かれた内容はこちら。
①けあがり(※1)の練習方法やコツを教えてほしい。
②後方支持回転の練習方法やコツはありますか?
キャリーバックベルト(※2)を腰に付けているけれどもなかなかうまくいかない
③こうもりふり・こうもりふりおりのコツ・練習方法を教えてください。
(※1)けあがりは、中学校での発展技に掲載
(※2)キャリーバックベルト…鉄棒に体を引き付けるためにつけています。補助具として利用。
●教えてくれた
峯岸さんに質問を送ってみたら、…
①~③の練習方法とコツを動画でまとめて送ってくれたのです。
送られた動画をまとめてclassroomに貼って子ども達に見せました。
すると子ども達から「すごい」「こんなのできないよー」「でもやってみたい!」という声が!
そして、次の体育の時間から、練習を始めている子がいました。
けあがりはさすがに難しかったのですが、
足かけあがり(この動画では膝かけあがりと同じ)が
できるようになった子、
後方支持回転もどんどん練習してできるようになってきた子、
こうもりふりおりは、ペアで確認しながら練習し
これまたできるようになった子たちがいました。
動画の力ってすごい‥。また動画では
練習方法・コツが丁寧に伝えられているため、
子ども達もイメージがわいたようです。
●やったことがでてる!
動画を見て子ども達が一番言っていたのが、
トレーニングでやってることがでてる!
でした。
トレーニングでやっていることって、鉄棒の技に関係しているんだということがこの動画を見て気がついたみたいです。すごい。
そうすると、
トレーニングの中にある「浮き支持3回からの空気イス」をやっていると、自然に後方支持回転になっちゃう子も。
峯岸昌弘さんは、資料『体育の授業で大切にしている3つのこと』(月刊『たのしい授業』2019年5月号・No.491)にこのように書かれています。
●「教える」というより「育む」ことが大切
「運動を教える」というのはなかなか難しいもので、例えば、「逆上がりのやり方」を教えたところで、すぐにその通り動けることはありません。
(中略)
実技を教える難しさは、まさにここにあります。例えば、音楽でも、「最初は<ドの音)で歌い始めるんだよ」といっても、音感が備わっていない子には無意味な指導です。何度も音を取りながら。 繰り返し歌って身につけるよりほかはありません。これは、(知識の教授)というより,(感覚的なものを育む)取り組みです。
それと同様に、体育でも、「逆上がり」のやり方を(教える)というよりは、「逆上がり」に必要な運動感覚を(育む)運動をたくさん積み重ねることが大切です。ぶら下がったり、引きつけたり。 眺び上がったり、支持したり、回転したり・・・・・
しかも、それらの動きを「ついやってみたくなる」ような提示の仕方をすることで、いろいろな運動を試しながら、いつの間にか感覚が育まれていく! ということを僕たちはめざしています。そうやって感覚を育むことで、いざ技をやるときに、「あ、この技は、あの動かし方に似ているかも。こうすればできるかな?」と思えるような基礎をつくっておこう というのです。
(月刊『たのしい授業』2019年5月号・No.491)より
太字は中村がつけました
そうそう!そうなんだよ。
トレーニングを行うことが、運動感覚を育んでいるんだ!と改めて思ったのでした。
●最後に
仮説実験授業提唱者である板倉聖宣さんは、このように述べています。
学校の体育の授業の様子をうかがうと、大部分の先生は、スポーツの基礎練習が決定的に欠加している子どもたちの教育をまるであきらめているように思えてなりません。
どんな小学校の先生も、文字なら、子どもたち全員を何とか読み書きできるようにします。計算も、足し算かけ算は何とかできるようにするというのに、「ボールを投げてもまるで飛ばない子どもたちには、投げ方をきちんと指導していないのではないか」と思えてなりません。
スポーツの授業では、子どもたちを遊ばせておけばいいと思われているのでしょうか。基礎的な訓練の出来ている子どもたちは、たのしく遊べますが、そういう訓練のできていない子どもたちは、ほとんど楽しめていないのではないでしょうか。
そこで、お願いです。小学校では、スポーツの基本的な技能の練習も指導して、子どもたちがそれらのスポーツを十分楽しめるようにしてください。
『たのしい授業プラン体育』(仮説社)より
「みんなで鉄棒のトレーニング」を行うことにより、
「基礎的な運動技能」が身につくんだろうなーって思いました。
峯岸さんの「鉄棒運動」授業の進め方は本当におすすめです。
鉄棒の時間が楽しくなっちゃいますよ。
※動画公開については峯岸さんに許可をもらっています。
峯岸さんありがとうございました!
クリエイターページ
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●峯岸さんの講座を受けたことをまとめた記事
●マット運動動画
●紹介した本
(おしまい)
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