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このゲームがゴールデンウイーク後に発売された理由を、ちょっと考えてみる(ネタバレなし)

ゼルダの伝説というゲームシリーズの最新作が、先週末、5月12日に発売された。多分、ゴールデンウイーク前に発売した方がさらに多くの売り上げにも繋がったはずだし、プレイヤーもその方が腰を据えてプレイできた。発売日が発表された時も、なんで連休明けなんだ?という意見が溢れていた。今回はこれについて、販売する側の立場にたって、僕が考えてきたことを書いてみようと思う。販売元である任天堂の意見や、経営理念を参考にしたわけではなく、ゼルダ開発陣のコメントも知らない。僕はここ数週間、このゲームに関する情報を遮断していたからである。つまり以下の考えは、完全に僕の予想というか、妄想なのでそこは注意していただきたい。

外に出て遊んでほしかったから

まずはこの理由が思い浮かぶ。久しぶりの自由なゴールデンウイークということで、みんなに旅行に行ったり、人と会って過ごしてほしかったのかもしれない。たしかに、連休前にこのゲームが発売されたら、10日間ほど人に会わずに一人部屋に引きこもって過ごすことも可能だし、そういう人も実際にいたことだろう。僕自身も多分その一人だ。連休明けの発売のおかげで、別記事の通り、今回の連休は人と会ったり、旅行を楽しむなどできた。ただの発売日という情報から、任天堂や青沼さん(あるいは宮本茂)の、優しさ、粋な心意気が伝わってくる。

ネタバレが出回るのを避けたかったから

まず、これは昔からある文化だが、ゲームの発売後それをすぐにクリアし、攻略情報などをサイトに載せる、”攻略サイト”というものがある。攻略に困った(詰んだ)人々がそこを訪れ、それで広告収入が得られる。サイトを作る場合、数人体制で分担してゲームを攻略するという話も聞いたことがある。また一般的な仕事をしていない人が、その人の得意なゲームの攻略サイトを運営し、それだけで食っているという例もあるらしい。面白い文化である。
また最近のインターネットには、”ゲーム実況”という文化が現れて、そしてすっかり定着している。ゲーム実況は今や、ゲームというカルチャーと切っても切り離せないものだと思う。僕も自分がプレイしたゲームの実況を見たり、あるいは自分が今後もプレイする気がないゲームの初見実況を見たりする。実況者のプレイやリアクションを見ていると、自分もプレイしている気になったり、共感を得られたりして面白い。
これらの文化は、インターネットでしか得られない面白さがあるが問題もある。それは楽しみにしていたもののネタバレを踏んでしまうということだ。前者は、自分から見に行かないと情報が入ってこないのでまだいいが(僕はちょっとした攻略を見ようとするつもりが、ガッツリとストーリーに関わる情報を見て後悔するという馬鹿なことをした経験がある)、後者は向こうからやってくるから質が悪い。正直これに関して僕は怒っている。今までにいくつのネタバレをくらったことか。僕はスマホ依存者なので、無意識に動画サイトを開いて動画を見出してしまうことがあるのだが、好きなコンテンツの動画を見ていると、関連でそのコンテンツに関する動画が出て、たいていネタバレされる。”この機能がすごい!”とか”今回はこのキャラが…”みたいなタイトルを作るな!それだけで何かしら予想がつくんじゃ!!さらにいうとサムネイルでラスボスの画像を使っていいわけないだろ!!!(ネタバレ否定主義過激派の一面が垣間見えてしまいました。失敬失敬)
とにかく話を戻すと、連休でいつもより時間が取りやすいとなると、短期間でクリアする人も増えるし、それに比例して世に出回るネタバレの量も増えるだろう。任天堂はそれを避けたかった。実況があるなら自分は買わなくていっか、という人も増えてしまうし、そもそもネタバレというものは無条件にプレイヤーの楽しみを奪うものだからだ。

ゆっくり、じっくりプレイしてほしいから

最後に考えられるのがこれ。休みの日にガッとプレイし尽くしてしまうのでなく、平日に少しずつ遊んでほしいのだ。学校に行き、部活を終え、帰ってきて宿題を終わらせ、それから寝る前にゼルダ。僕は今は学生じゃないけど、この流れを想像するだけでワクワクしてしまう。あるいは、一日の仕事をこなし、夕食の買い物を済ませ、まっすぐ帰宅し、家事をして、風呂に入り、意味なくスマホを触ることも無く、ゼルダ。そして遅くない時間には寝る。僕が現在こういう生活をしている。
誰かと攻略について話すこともなく、自分で考えて進む。最近のゲームにしては珍しく完全にオフラインのゲームなので、ただ一人で、自分だけが知るルートを進んでいる。仕事中も、今日はどの地方に行って、どういうことをしようか、と考えたりする。小学生の時みたいな過ごし方だなと感じる。つまり毎日が楽しい。
帰ってからの少しの楽しみ。コツコツと一人で冒険をする時間。これが何気ない日々をワクワクさせることを、任天堂は知っている。これを狙ったのだろう。きっとこれこそ真の理由だ。


こういうセリフは好きではないが…

このゲームを攻略サイトだけに頼って進めてしまうこと、実況動画でプレイした気になって済ませてしまうこと、あるいは最短でクリアしてお金稼ぎのツールにしてしまうこと、それらは人生の損である、と僕は思う。もちろん言い過ぎである。人生の損得はみんなが各自で決めるものだ。
これは所詮ゲームの話であるし、ゲームなんてただの遊びだ。でも、そこには自分でじっくりと遊んでこそ得られる面白さがあるし、日常ではなかなか味わえない冒険の楽しさがある。この時代に、6年間もの期間をかけてこの種のゲームを開発し、このタイミングで発売した任天堂に、僕は一生付いていこうと心に決めたことは確かである。


他の記事と違って、これは人に読んでもらうために書いた文章なので、関連タグをいっぱいつけたり、会社名などの固有名詞を使ったりした。本来ならこのアカウントでやりたい投稿ではないが、文章の投稿はここでのみ行うことにしたので、ここで投稿する。多くの人にこの文章が届き、そして、少しでも多くの冒険者が、自分の手で、自分の足で、ハイラルを旅することを願っている。

僕はこの後もハイラルに行きますので、ここらで失礼。

それでは、また。


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