Run away in the rain !!
静かで、それでいて退屈な雰囲気に満ちた、居心地のいい部屋から逃げ出すように、僕はランニングシューズの紐をきつく結ぶや否や、雨の夜、外へ飛び出す。夕方の予報の通り激しく降っている雨は、なぜか僕の重い腰を上げさせ、外へと誘い出す。
お気に入りの黄色いシャカシャカした運動用の服(正式名称不明)のフードをすっぽりと被り、イヤホンを耳に差し込み、お気に入りのバンドのアルバムを選んで流す。自転車から懐中電灯を取り外しライトが点くことを確認し、1曲目がサビに入るのに合わせて駆けだす。走ろうと思い立ってからここまでおよそ3分。行動を起こすためには、行動を起こさないための言い訳を自分に考えさせないことが重要なのかもしれない、ということを考える暇もなく、走るペースは上がっていく。
降る雨は、強くなったり、弱くなったり。僕は一定のペースを維持して走る。
フードにあたる雨粒の音が強くなったり、弱くなったり。イヤホンから聴こえるアルバムの曲は心地よいリズムを維持して流れる。
なんども聴いたことのあるそのアルバムの曲順は頭に入っている。予想した通りの順番で、知っている曲が流れ続け、そのBPMに合わせるように足を動かす。ピッチを一定に、ストロークをコントロールして強度を変化させるのが自分のスタイルだったなということを、久しぶりのランニングは僕に思い出させる。
右足の着地と同時にバスドラムが鳴らないと違和感を覚えてしまうのは、最近、ドラムを叩けるようになってしまったからか。難儀ですなあ。
黄色いシャカシャカした運動用の服(正式名称不明)は防水使用なのだが、相変わらず降り続ける結構強めの雨と、数十分間走り続ける体から噴き出す汗で、すっかり胴体に張り付いている。不快さは無い。
ここまで来ると、もう何も考えていない。考えることは好きなんだけどそれと同じくらい、考えないことも好きだ。水溜まりも避けない。やけに顔が痒いから、これ酸性雨じゃないよな?とか考えていたかな。多分。
酸素が足りなくなってる頭で判断できるのは、このアルバムがあと3曲くらいで終わるということ。終盤の特に盛り上がる曲に合わせてペースを上げていく。雑念も何もない頭にはやけに歌詞がよく理解できる。なんか当たり前のことを言ってるな。いい曲だ。家までもう少し。
曲が変わる。ピッチを上げる。フードを脱ぐ。雨が顔に当たってちょっと痛い。イヤホン壊れそう。知ったことか。
Nobody can stop me now !! (今の僕を止めることは誰にもできない!!)
ずぶ濡れで、息も絶え絶え、アドレナリン放出状態で帰宅し、文章が書きたくなったので、書いている。楽しい。
これから雨がよく降る季節が来る。そこのモヤモヤを抱えたあなたも、雨の中、駆け出してみてはいかが?
多分、どこかで僕も一緒に走ってるからさ。
それでは、また。
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