国際機関への拠出金が足りない⁈
昨日の日経新聞に「国際機関への拠出金が足りない」という記事が出ました。
要は、円安のせいでドル建て予算の円建てでの負担が増加したので、国際機関への拠出金が確保できていないということのようですが、私はこの記事に違和感を持ってしまいました。
違和感は主に3つありますね。
①予算不足だとしても、足元の円安は影響ではないのではないか?
政府が令和6年度に使う為替レート(支出官レート)は、令和6年度は1ドル139円、令和5年度は1ドル137円、令和4年度は108円。
令和5→6年度にかけては2円の差しかありませんが、令和4→5年度では29円の差でした。ですから、あきらかに令和4→5年度の方が円安の影響が大きかったのですが、次の表で見るように、当初予算で円安分が加味されて増額されたわけではありません。
また、実際の送金時の支出官レートと実勢レートとの差分は補填金で補完されます。
②国際機関への分担金・拠出金は当初予算よりも補正予算の方が規模が大きく、常に当初予算だけでは足りない。
上の図は財務省HP公表の予算のポイントです。
国際機関等の分担金・拠出金の項目では、令和4年度から6年度にかけて、当初予算は621億、513億、540億円。令和6年度は対前年度でプラス5%でした。
対して補正予算は、当初+前年度補正から当初予算を引いた分なので、令和3年度から5年度にかけて、1,321億、1,593億、1,243億円。
そもそも、分担金・拠出金の金額は補正の方が圧倒的に多く、当初予算だけで賄えるものではないということがわかります。
③昨年後半の予算折衝で、外務省は現在の予算額(案)を容認している。
予算折衝では、ドル建てでいったん計算したものを、最後に支出官レートで円建てに置き換えます。
つまり、現在の予算額は(財務省に査定されていて外務省側が不満に思っていたとしても)外務省として容認しているものです。別に、今になって円安になったから「しまった足りない」と焦っているということはあり得ない。おそらく、例年どおり補正予算で補填すれば足りるという認識ではないかと思います。
以上の点から、日経新聞が指摘する、円安の影響で当初予算では拠出金が足りないことがわかった、控えめに言っても説明がかなり不足している書き振りだと思います。
以上、予決研でした。
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