長時間労働はつらいよ
「馬車馬」よりも劣悪…?な私達の労働環境
「馬車馬のように」という言葉がある。その表現が意味するところは、「(馬車馬は目を覆われているので)一心不乱に、脇目も振らず」という状況を指しているようだ。よって「馬車馬のように働く」となれば、一心不乱に働く、長時間労働も厭わず働く、のようなイメージがある。
会社の先輩が、ある日「馬車馬って、一日9時間しか働いていないんだって!」と言っていた。つまりその先輩が言いたかったのは、先輩は馬車馬よりも(ひどい)長時間労働をしている、ということ。もちろん、馬車馬にも9時間ぶっ通しで働くことなど許されず、食事休憩は1時間、都度休憩も与えられているのが通例のようだ。
過去にも馬車馬は過酷な状況で働かされていたように思うが、馬も過労で死んでしまっては困るので休憩や休息時間を十分与えるようになったのかもしれない。詳しいことはわからないが、現代でも英国王室などで働いている騎馬隊所属の馬たちはきっとちゃんとした休息を与えられているだろう。
ケインズさん、予想外れたよ…
なぜこんなにも長時間、私達の時間を会社に捧げる必要があるのだろうか?件の彼女の場合は、勤務先から自宅までが通勤に往復2時間以上かかる事もあるようだが、通勤時間も会社に行くための時間なので、会社関連の時間をすべて一日でトータルすると9時間を超してしまうようだ。
ここで、「通勤時間含めて9時間以上?そんなの普通だよ」という声が聞こえてきそうだ。かく言う私自身も、過去には通勤に2時間以上をかけて、通勤時間中もメールを確認し、会社に着いたら仕事をして、1時間の昼休憩をはさんでまた仕事して…退社時間は18時ならまだ早いほうだなどと思っていた時期もあった。
経済学者のケインズは、1930年に、『100年後の労働時間は1日3時間、週15時間程度になる』と予言した。経済も科学技術も、1930年よりも良くなっているはずなのに、一体今の状況はどういうことなのだろうか…?ケインズさん、予想外れちゃったよ…。
リモートワークでもまだ長時間働けと?
リモートワークが普及してからは、通勤の往復時間を疲弊せずに仕事が開始できるのは素晴らしかったが、移動時間が減った結果、9時始業で18時退勤、昼休憩は除くとしても会社に捧げる時間自体はあまり変わっていない気がしていた。通勤時間分長く働く必要などないはずなのに…。
通勤の有無はさておき、とにかく馬車馬でさえも9時間で仕事(会社)から解放されるのに、人間は退社後もなんだかんだで携帯電話でメールをチェックしたり電話したりしているのはなぜだろう。リモートワークで常に連絡を取れる状況であったとしてもPCや携帯電話から完全に解放してほしい。もちろん、表向きにはそんなことが推奨されているわけではないし、本来そうする必要もないと思うのだが、そうしている人間こそが会社に貢献しているとみなされ評価が高い気がする。
この状況を個人で打破するには、現状維持を甘んじて受け入れるのではなく、真に生産性を高める働き方を進め、「柔軟な働き方」を推進している組織に移るしかないのかもしれない。
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