ショートショート_はじめて切なさを覚えた日
今朝の月は月齢20.7、月の入りは11時11分で。形としては下弦の月の1日目の月のはずで。左側が明るく、少し右にも膨れていたのが、少し南に傾いだ格好で薄く残っていたのであろう。
私は今朝、実は、東京にはいなかった。そこでは厚い雲が空を覆っており、月の姿は想像するしかない。
月は空を巡る。月の出も月の入りも、約29.5日を周期としてズレていくので、太陽のように見える方向だけでは俄には時間がわからない。
それでも、毎夜、私は月に祈る。月があるだろう方に向いて、手を合わせて祈るのである。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「今朝の月」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【ひと夏の人間離れ】で。裏のお題が【甘夏の肉離れ】|д゚)チラッということだ。
そして、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
「 #はじめて切なさを覚えた日 」というお題で、エッセイあるいは短編小説を書いてみませんか?ということで。
更に、今回は、なんと裏のお題が出ている。
🍁裏お題【はじめてのTバック】🍁|д゚)チラッ、ということで。今回は、この裏お題は、文中に入れさせてもらおう。
今回は、未来の味蕾さんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。
つくづく、詩作ができる人というのは、尊敬する。
私は詩作が苦手で、詩が書けない。読むのは好きなのだ。詩は余白が広いことを良いことに、勝手に読み解き、勝手に感心しているだけだが。
囓られた月は、昼行灯のように薄く明るく、青空にあり。そして、太陽のような花に水をやる。
寝坊しつつ、一日を過ごして。
月を囓って、帰宅後にブレスレットで逮捕されるなら、詩に出てくる彼の一日は、結構良い一日なんだろうなんて思ったりする。
こういう、ゆったりとした時間と空間が、好きだ。
詩は、自分では書けないのだが。
生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
お3人の企画は、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、シロクマ感想文。たらはかにさんの裏表のテーマ、そして、山根あきらさんの、裏表のテーマ。今回は、6ついっぺんに書く6重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。
これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、悪ガキだな。
まあな。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、図らずも、コミカルな内容になってしまっている時もあり。今回は、また、その調子になってしまっているようで、実は、反省している。少しばかり。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「はじめて切なさを覚えた日」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
今朝の月は下弦の月の一日前で。少しだけ右に膨れた月だった。
あの朝も、そんな月がまだ空に残っていた。
財前は相撲の選手だった。だがどうしても太れない体質で。食べても食べても背だけが伸びて脆弱に見えた。
だが努力家で、筋力だけは人の3倍は鍛えていたので、中学最後の夏は全国でも注目される存在ではあった。
財前が褌を締め、はじめてのTバックになったのは幼稚園にあがる前のことだから、優勝は悲願だった。
準決勝で優勝候補筆頭に当たり、誰の目からも財前の劣勢は明らかだった。
土俵に手をつき、にらみ合った。
「はっけよい!」
がぶり四つに組み合ったと思ったら、財前は超巨漢を掬い上げてひっくり返し、鮮やかな投げを決めた。滅茶苦茶な離れ技で。
数分後、財前は医務室に寝ていた。あの一瞬で全身の筋肉を燃やし尽くしたのである。
マネージャーが心配そうに財前の手を握り、介抱していた。
財前は今や若くして秘密警察の研究所長で。だが妻君には全く頭が上がらない。
☆ ☆ ☆