まいやん

長女は、乃木坂46の大ファンである。というよりも、白石麻衣の、大ファンなのである。白石麻衣のことを、まいやんと呼んでいる。

10月27日から3日間休みをとり、28日の卒業コンサートを見た。この卒業コンサートはネットで配信され、推定ではあるが全国で68万7000人が見たという。

長女は、26日の深夜に我が家に帰省してきた。深夜にテレビで録画されていた、まいやんが乃木坂46として出るのは最後という音楽番組を見ながら号泣していた。翌27日、長女は関西に住む長男の家に移動したのだが、実は長男も、乃木坂46、そして、まいやんの大ファンである。2人で卒業コンサートは一緒に見て見送るのだという。

今までも、長女と長男の2人で一緒に日本全国いろいろなところにコンサートに出かけていた。いつだったか、上海まで行ったこともある。ライブを一緒に楽しんでいたのだが、とうとう、それが、終止符を打つ。

今年、通常ならば3月に卒業ライブがあり、それを2人で見に行くつもりだったらしい。それが一度中止となり、延期してこの季節になったのだそうだ。

長女は、熱狂的と言ってもいいほどのファンで、自宅は乃木坂46のCDとDVD、BDが所狭しと並べられており、ポスターも飾られている。もちろん、ほとんどが、まいやんの、ものである。

29日に、長女から家内にLINEがあった。

たまたま休みだった家内は、長女のリクエストを聞き入れて、コンビニでスポーツ紙全紙を購入した。

当初は29日に自宅に戻るはずだったが、

余韻に浸りたいから、明日、始発の新幹線で帰る。

と、長女から家内に、LINEがあった。

30日は、出勤である。寝坊の長女のことを、家内も私も心配したが、ちゃんと職場に定時に到着した旨のLINE報告があった。

大きなイベントは終わったようだが、長女の、まいやんロスが、どんなかたちで出てくるのか、それを考えると、少し怖いような気もする。

心配する家内に対して、長男は、呑気に、

大丈夫じゃね?

と、ふざけて若者言葉でLINEにコメントをくれた。

長女が我が家にいた時には、どれだけ乃木坂の曲を聴いたり、映像を見せられたかわからない。私は、乃木坂ファンでも何でもないが、テーマが乃木坂なら、超ドレミファドンの問題に連続正解できるだけの実力を自然に備えることができた。

そして、家内も、決して、まいやんファンではない。だが、まいやんを見るたびに、

お父さんとお母さんは、どんな人なんだろう?

と、いつも呟いているし、

卒業コンサートが配信されている時間帯で、家内は、

私も、ここで見たかった...

と、ため息をついていた。

もう、私も、家内も、立派なファンではないか。

いずれにしても、我が家の、2020年の、最大のイベントが、冬を前にして、ようやく終わった。