アイドルを待っている【ショートショートnote_85/創作】
家内が私を追及するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。
ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。
今回は、家内に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。
それでは、本編にまいりましょう。
家内のお題から。本編、「アイドルを待っている」、約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
その店は、八王子の北口にある。
路地を入った金太郎というラーメン屋を通り越して、さらに奥の路地に出る。コンクリートの打ちっぱなしの壁に、赤い重厚な扉で。一見、イタリア料理屋だとはわからない。
ある日、仕込みの時間が終わった頃に、あの若者がやってきた。
手には花束を持っていて。カウンターに座った。
奥からシェフが現れ。若者は、軽く会釈をした。シェフは軽く頷きながら、テーブルにあったRESERVEDの札を静かに下げた。
やがて。
一人の女性が現れて。若者の隣に座り。花束を受け取った。
二人の会話は、手話だ。若者は恐らく、手話を最近覚えたのだろう。どこか、ぎこちない。
そして、二人仲良く店を後にした。
ある雨の日。
若者が、カウンターに座っている。
壁に、幻のメニューの札がかけられた。シェフが奥に行こうとしたその時、若者が言った。
今日は、アイドルを待っているんです。
シェフは、静かに笑った。
その店の看板には、Gioelloと書かれていた。
☆ ☆ ☆
ちょっとショートショートの禁じ手。前回からの続きを、また、使ってしまった。でも、まあ、いいだろう。たまには。
Gioelloとは、イタリア語で、宝石という意味らしい。
■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。