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t0m0y0
名人
ゆで卵は、私の食料のうちの重要な要素である。
鍋でゆでればいい話だが、私は、ゆで卵器を使う。一週間分を一気に土曜日に作り置きするので、可哀想なゆで卵器は、何度も稼働することになる。
そしてある日、悲劇は、起こるべくして起こった。
私の相棒のゆで卵器が、突然、ゆで卵を作れなくなったのである。
あまりにも過酷な労働を強いていたと思う。私は、ブラッキーな持ち主、使い主だったと思う。
だが、後悔先に立たずだ。
そして……。新たな相棒を迎え入れた。
その名も、「ゆで卵名人」という。

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
名人、やるねぇ。
今までは、一気に作るのは6個だったから。3-4回転していたのである。
一度の作成にかかる時間は17分。それを4回転となると、手間も時間もかかった。
格段に時間短縮になったのである。
だが、過酷に使い過ぎた先代のゆで卵器が不憫で。いまだにサヨナラできず、キッチンの隅で休んでもらっている。
なんのはなしですか。

そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、先代を酷使したよね。罰として、倍返しね。
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

