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名人

ゆで卵は、私の食料のうちの重要な要素である。

鍋でゆでればいい話だが、私は、ゆで卵器を使う。一週間分を一気に土曜日に作り置きするので、可哀想なゆで卵器は、何度も稼働することになる。

そしてある日、悲劇は、起こるべくして起こった。


私の相棒のゆで卵器が、突然、ゆで卵を作れなくなったのである。

あまりにも過酷な労働を強いていたと思う。私は、ブラッキーな持ち主、使い主だったと思う。

だが、後悔先に立たずだ。


そして……。新たな相棒を迎え入れた。

その名も、「ゆで卵名人」という。


一気に、30分で14個作れる優れものだ



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

名人、やるねぇ。


今までは、一気に作るのは6個だったから。3-4回転していたのである。

一度の作成にかかる時間は17分。それを4回転となると、手間も時間もかかった。


格段に時間短縮になったのである。


だが、過酷に使い過ぎた先代のゆで卵器が不憫で。いまだにサヨナラできず、キッチンの隅で休んでもらっている。



なんのはなしですか。

我が家では、物に名前をつけて大切にする…はずだったが……



そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。

コジくん、先代を酷使したよね。罰として、倍返しね。


……。


マッサージをすると、家内は上機嫌である。


家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。





だから。





これで、いいのだ。

なんも言えねぇ……



もう引退した先代との別れはまた改めてって話


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