金輪際
私の母、みかちゃん(注1)は、酢は健康に良いからとカレーに酢を入れてしまうというようなこともしてしまう、ある面、毒親でもあったが、同時に過保護な母でもあり、とても変わった人だった。
私は、悪ガキだったので、母にいつも、叱られていて。叱られても叱られても、また、悪ガキぶりを発揮していた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
みかちゃんが、変な人になったのは、コジのせいじゃないの?
確かに。そうなのかもしれない。
母には、可愛そうなことをした。学校には毎日のように呼び出され、いろんな人に頭を下げていた。終ぞ親孝行もせず、母は、7年前に亡くなった。
母が私を叱るとき、必ず出てくる口癖があった。
それは、「金輪際」という言葉だ。
2度とやらない、やってほしくないという意味を込めていたのだと思う。
「コジ、こんな悪さ、金輪際したらあかんよ!」
私は、コクリといつも頷いてはいたが、私が言うことを聞くことは、金輪際無いままだった。
なんのはなしですか。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、親不孝だったね。妻不幸にはならないように、マッサージ、しようか。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)我が家は、おとうさん、おかあさん、おじいちゃん、おばあちゃんとは言わず、呼び捨てかあだ名で。みかちゃんとは、私の母の、我が家での呼び名である。