勇気
私には、痛風という持病があり、かかりつけ医に、毎月通っている。
そのクリニックの先生とは、かれこれ20年近くの付き合いになることもあり、とても仲良く付き合っている。
そして。7月の中旬に通院したときのこと。私は、家にあるポロシャツを着ていったのだが、それは、かつての次女の彼氏のものだった。
その胸のエンブレムには、「All Japan」と、刺繍されている。
先生が、それを見て、こう言った。
「オール、ジャパン?全日本の選手だった?」
私のことをよく知っているのだから、そんなわけないことはわかっていっているのだが、こういうやりとりが、また、面白い。
このオールジャパンは、インターハイの全国大会という意味で。インターハイに出場した選手ならば、記念に何着かは買って持っているはずのものだ。まあまあ、それほど珍しいものではない。
私は、そのことを説明し。最後に、こう、付け加えた。
「次女の、元彼のポロシャツを着ているんですよ」
すると先生が、こう返してきた。
「そんなものを着るなんて、勇気あるね」
私は、笑いながら、また、こう返した。
「サイズがぴったりなので。そいつ、バレー部で。ゆうきっていう名前なんです」
すると、ちょっと置いて、先生が、ニヤリと笑いながら、こう、言った。
「まさか、石川祐希じゃないよね?」
冗談の言い合いは、二人の大笑いで締めくくられた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
それが事実なら、もっと自慢してるよな、コジ。
なんのはなしです鹿。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、そんな冗談を言っている間があったら、マッサージね。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。