
ラップロール
家内は時々、わけのわからないものを職場から持ち帰る。
このあいだは、ラップを、持ち帰ってきたのだ。それも、そこそこラップが巻き付いて残っている、外箱を外した、ロール部分だけを。
持ち帰り、こんなことを言う。
コジくん、これ、綺麗だから。外箱が、無いだけだから。使って。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、使い切ることを、期待されているぞ。
この、ラップロール、家内は、絶対に使わなかった。なぜならば、切るのが面倒だからという理由で。
そして私は、いちいちはさみで適切な長さに切り。2ケ月くらいかけて、使い切った。

なぜ、家内は、持ち帰ってきたのか。
勿体ないから。職場で、外箱をこわしてしまい、捨てようとしていたので、持ち帰ったという。
そして、こう、言う。
コジくんは、面倒なこと、淡々とやり切るの、得意じゃん。
いや、それ、ほめてるのか、バカにしてるのか、微妙な言い回しだ。
そして、こう、言う。
我が家のラップ、2ケ月分、浮いたね。
私は、たとえ多少の手間がかかろうとも、勿体ないを、優先する。それは、正しい。
だが。
わざわざ、手間のかかることをさせられる身になってみて欲しいと、家内に言ったら。
コジくん、まだ、使い道のあるものを、見す見す廃棄してしまうような残酷なこと、あなたには、出来ないよね。
そんなこんなを思い出して。
あの時の、ラップロール、手間だったと言いたくて、後ろを振り向くと、家内が笑っていた。
家内は、私の心の隅から隅までを、なぜか、知っている。そしてそこに纏わるものについての家内の憶測は、そうそう、外れない。
そんなことよりもコジくん、早く。あんよが、待ってるよ。
男は黙って、マッサージ。
マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて、平和である。
だから。
これで、いいのだ。
■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。