大同特殊鋼
最近、夏くらいから気に入っているテレビCMがある。
大同特殊鋼のCMなのだが、私が知っている大同特殊鋼は、確か、ハンドボールの実業団チームがあったはずで。
スポーツ好きということで、単に、知っているのである。
その企業が何を事業としてやっているのかを人に何かを知らしめることは難しい。大同特殊鋼、どういう会社だろうか?
一言で言ってみろと言われても、私は、お手上げである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジが、再就職で会社訪問しても、落っこちるね。
でもこのCMのお陰で、少しだけ調べてみた。
文字通り特殊鋼を作っている会社なのだ。鋼というのは、普通は、FeとCでできている。そこに、CrやNiやMoなどの金属を合わせて特殊な鋼を作る。柔らかさとか、堅さとか、抵抗とか性質の違う、様々なシーンで求められている、最適な金属を提供している凄い会社なのだ。
飛行機や自動車の車体。あるいは、建造物。身近なところでは鍋などのような食器などが、その場その場の、使用シーンである。
素材メーカーではあるので、それそのものの名称を表すのは難しいかもしれないが、あらゆるシーンで使用されている。
話が逸れかけた。
で、どうして私がこのCMに興味を持ったかと言うと、家内が教えてくれたのである。
この、歌を歌っている人はプロの名のあるラッパーで。もっともっと音楽に興味が無いような一般の人にも自分のことを知ってもらいたいという思いが、大同特殊鋼の思いと重なり、この仕事を受けて成立したCMだと言うのだ。
私は、悪ガキだけあって、人に認めてもらったことが無い。悪ガキなのだから、認められる訳などないので自分のことは諦めていたのだが、世の中には結構いいやつで、努力していたり優しかったりするのに、なんだか不遇の位置にいる人物がいる。それも、けっこうゴロゴロいる。
なんだか彼らのことが放っておけなくて。話しかけたり、陰でプロモーションしたりする気持ちになるのである。昔から。
もともと、ラップは、まあまあ好きだった。だから目にとまったところへ、家内の話で、好きになった。
ある日、帰宅したらテレビが流れていて。このCMがかかっていた。ふと画面を見つめていたら、いきなり家内にチャンネルを変えられた。
「あれ?変えないでよ、このCM好きなのに!」
すると、こう、返ってきた。
「私ねぇ、ラップなんて大嫌いなのよ!」
……。
なんのはなしですか。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、私、ラップ、嫌いだから。癒やして。
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。