ショートショート_断崖
雪が降るというシーンを、この冬、まだ見てはいない。
私の住んでいる地域は、東京都ではあるが、都内では一番最初に積雪がある。年末から何度か降る予報があったが、降らずに今まできている。
だが年末、次女の住む雪国にでかけると、積雪があった。
しっかりと振り、ときに前が見えなくなるような吹雪の中を小志朗(注1)で進んだ。
こういうシーンを見ると、雪国の人たちは本当に過酷で大変な中、きちんと生活しているのだと心から尊敬する。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと呟いた。
コジ、ちょっとしたことで不満を言ったりしちゃ、俺たち、ダメだな。
鈍色の、寒い空だが。冬の空は乾いて澄んでいた。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「雪が降る」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題がお題【逢いたい菜】で。裏のお題が【だいたいニャー】|д゚)チラッ、ということだ。
むむっ。ちょっと今回は、「匂わし」は諦めてストレートに使おう。
そしてさらに、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、これだ。
お題は「紅一点の魔物」というお題で、小説、エッセイ、詩などの作品を書いてみませんか?と、いうことで。
今回はこれを文中に入れ込んで作ろう。
お三方の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。すごく励みになる。
また、今回もシロクマ文芸部作品を読んでみた。大橋ちよさんの作品である。シロクマ感想文として、ちょっと述べてみる。
「殲滅」のテーマで、ほんわか物語が進行していくので、木曽路くんが相談があるとカバンを開けたとき、人の手が出てきたりして。実は彼がサイコな殺人者だと思ってしまった。
まさか、ふわふわで可愛い雪ん子が人類の敵だったとは。
面白かった。奴らを殲滅するために頑張れと応援する気になった。笑
ただ。
人類の80%が死滅してしまった今、銀座の一等地に受注案件、「居酒屋ワンダーランド」を開店するというのを最終目的とするのは、あまりにも非現実的だと思うのだが。笑笑
しかし。
そうまでして成立させたい「居酒屋ワンダーランド」は、どんなパラダイスかとそこに興味津々になった。
共に、その夢を追ってみたくなった。笑笑
今生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、そして山根あきらさんのお題と、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。やりすぎじゃないかな。
うむ。
これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、悪ガキだな。
まあな。
私は、この荒技シリーズを、もう少しきちんと書きたいのだが、いつも中途半端である。
なんのはなしですか。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「断崖」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
雪が降る断崖絶壁。泉は最後の怪人化した魔物を追いつめた。
大量の魔物達を倒し、多少息が上がっている。
魔物は格闘技の心得は無さそうで。まるで戦う意思を感じない。
徐に魔物が声を発した。
「この辺りだと見当をつけていたんだニャ。もう少しだったのニャ」
なんと、この魔物。ひとり女性だったようだ。
魔物は崖っぷちから頻りに下を覗く。どうやら何かを探しているようだ。
泉は気を抜かず、常に構えて牽制している。
怪人はたまらず、屈み込んでその菜っ葉に手を伸ばした。
が、次の瞬間、足を踏み外して転落してしまった。
真っ逆さまに落下する魔物。
だが、涼が操縦するドローンが横っ飛びで紅一点の魔物を無事に回収した。
どうやら魔物は薬剤師だったようで。取り調べに対して素直に応じている。
「だいたいニャー、あれは単なる菜っ葉じゃニャい。どうしても逢いたかった珍しい菜っ葉なのニャ」
それは崖や岩場に生息する薬草、日陰の葛と判明した。
変わった魔物もいるものである。
☆ ☆ ☆
荒技を何とかやり終えて、その苦労話のそんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニコリと笑って言った。
荒技なんてどうでもいいから。マッサー(注2)、頼んまっさー。
マッサージをすると家内は上機嫌である。
家内が上機嫌であれば、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)我が家の車には、小志朗という名前がついている。燃費も良く足回りも軽やかで、最高の相棒なのである。
(注2)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。