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yasmagic_ring
解れ
長女が、日曜日の夜遅く帰宅してきて私に言った。
コジくん、いつでもいいから、急がないから、これ、直しておいてくれる?
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いきなり、ミッション発動である。
私の目の前には、いつもの、マイクロテープが置かれている。
お疲れ様。コジくん。
今回のミッションは、M(長女)のネックレスの絡みをとることを実行して欲しい。
わかっているとは思うが、途中で挫折したり証拠隠滅を図るような、エージェントにあるまじき行為だけは、決してしないように。
例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。
プシュー〜。
マイクロテープは、消滅した。
まずは、道具だ。今回は、針二本でいいだろう。
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そして、シャカシャカ、シャーンと、わずか60秒。
テッテレーッ!
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心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
我ながら、なかなかの腕前で。オッホンッ!
まだ、長女は、帰宅してきていない。自慢ができない。
そんなこんなを語らおうとしてソファーを振り向くと、家内が足を指さして笑いつつ、こう、言った。
すごい!すごい!すごい!スッゴーいっ!だから、手を違う要領で違うことに働かせよう!
違う、ルーチンミッションの発動だ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。