黒松
私は知らなかったのだが、長女の彼氏が、また、和菓子を買ってきた。
それがどら焼きで。家内がそれを見て、いたく感心して叫んだのだ。
「黒松だ!」
なんでも、東京三大どら焼きなるものが存在するらしく。
これによると、三大どら焼きは「うさぎや」、「亀十」、「黒松本舗 草月」と、あるという。
それぞれ、結構な値段である。
家内の周囲の人達は、なぜか、高価なものを差し入れしてくれていて。家内は既に、このうちの2つはよく食べていたらしい。
最後のひとつが、ようやく家内の手に入ったのだ。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
さっちゃん(注1)、持ってるよね。
家内は、この黒松が一番手頃な大きさで、黒糖の皮が美味しく、もうひとつ欲しいと思ったと、ちょっと感激していた。
家内が言う。
「コジくんにも、配給。半分じゃなくてまるごとひとつだから、マッサーは、わかっているよね?」
なんのはなしです菓。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、わかってるよね?
御意っ!
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。