不覚
次女のボーイフレンドは、車の運転が好きである。家内が次女に、
晩御飯も大変だろうから、我が家に連れてきたら。
などと言い、私も、
いつでも、遊びに来れば良いよ。
と、彼に声をかけるものだから、次女のボーイフレンドは、よく遊びに来るようになった。
ボーイフレンドも、最初は遠慮して来たがらなかったそうだが、次女があまりにも、遊びに来いと言うものだから、だんだんと我が家に来るようになった。
彼は、礼儀正しい。そして何よりも、優しい。だから、次女のような、がさつな人間とも、きちんと付き合ってくれている。
次女は、運動部に所属している。その運動部で、特に仲の良い仲間がいて、その子と、次女のボーイフレンドの友人と、4人で連れ立って、よく、オフの日は、遊びに行っている。
つい、先々週のことだ。
レンタカーを借りて、少し遠出をするという。次女のボーイフレンドは、車の運転が好きなので、よく、運転手を買って出て、運転手として活躍していて。今までは、レンタカーを借りて、4人で小旅行に出かけていたようだ。
家内がそのことを聞きつけて、言った。
どうせならば、ウチの車を使いなさいよ。レンタカー代が、勿体ないんだから。
家内の鶴の一声で、我が家の車が使われることになった。
我が家の車には、名前がついている。その名を、小志朗(こじろう)という。
小志朗が、次女たちの小旅行に使われる。私は、このことに、別段、違和感も、嫌な思いも無かった。
というのは、次女のボーイフレンドの運転は、何度か経験して見ており、実に丁寧な、誠実な運転をするので、特段の心配は、していなかったのである。
いよいよ行き先が決まり、家内が、いろいろと、車の営業マンにヒアリングをして、次女に言った。
保険は、あなた達で、別に、かけなさいよ。
私も、最近になって知ったのだが、運転するものが別に保険をかけておくと、私の車の、私の保険を使わなくても、その保険から保証されるというのだ。しかもそれは、当日、コンビニで、かけられるという。
次女たちの、小旅行の日、コンビニで保険をかけて、2人は出発していった。そして、どこかで落ち合った2人を加えて、次女たち4人は、小旅行を楽しみ、無事に帰宅してきた。
翌日の、朝だった。仕事をしていると、家内からLINEが、入ってきた。
車は、きちんと綺麗に駐車場に停められていました。社内も、ゴミ1つ、残っていません。綺麗です。
でも、また、やっちゃった!
その言葉と共に、写真が添えられていた。
なんと、ODOメーターが、6688と、なっているではないか……。
俺たちの、6666は、どこに消えた?
私と家内とが、今、小志朗で、あるイベントを行っている。
それは、ぞろ目祭り、である。
ODOメーターのゾロ目を、確認していこう、という、単純な、私と家内と、子供たちの間だけの、他愛も無い、遊びである。
そう言えば……。
次女に車を貸す前に、まだまだ300㎞くらい、あるね、かなり先だねと、家内と2人で確認したのだ。それを、次女とボーイフレンドに伝えるのを、忘れていた。
次女は、小旅行に出かけると言った。それは確かに、小旅行だった。ギリギリ、ゾロ目を、超えるくらいの。
家内と私は、LINEで、確認し合った。
次女たちが、楽しんで無事で帰宅してきたのだから、それで、良かった。今度、7777は、計画的に、きちんと、確認して、家族みんなで楽しもう、と。
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