気付薬
普通、気付薬とは、ボクサーなどがダメージでも朦朧としたときに嗅がせる化合物のことで。
アンモニアなどのスメリングソルトのことである。
でも私には、少し違うものが、長い間気付薬として頭の中にあった。
あれはまだ、幼稚園の年長さんくらいの時だったと思う。
母方の親類は、なんだかんだとよく集まる人達で。その日も、正月、初日の出を見るのだと言って、母方の祖父の家に年末から集まっていたのだ。
早くから家を出る。私も、早起きをして摩耶山に登り。山頂で、ちょっと気分が悪くなった。何とか我慢して下山。帰宅したが、気分の悪さは増すばかりだった。
叔父が、その時、キャップに一杯のウイスキーを紅茶に入れ、私にくれた。
「これ、気付け薬だ」
それを飲んだ私は、まもなく回復。すっかり良くなり、快適な正月を過ごすことができた。
その後、私は、ウイスキーは、身体にいいのだろうと思うようになった。
この前、@Candyさんの記事を読んで、ふと、そのことを思い出した。
だが。
お酒というのは、飲み過ぎるとろくなことはない。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、何度も失敗してるもんな。酒は百薬の長とは言うが、飲みすぎて良いわけがない。だいたい、幼い頃にお酒は身体に良いのだなんて勘違いをしていること自体大いなる間違いだ。
今まで、その、ろくなことがないことは、たくさん味わってきた。
なんのはなしです過。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、酒は飲むとも飲まれるな、よ。まあ、コジくんには言っても無駄だろうけれど。
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。