Nobuhiko Kitazato

建築・インテリア / 設計デザイン事務所"monotrum" 主宰 / https://monotrum.com

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最近の記事

側溝の技芸

道路脇に必ずあるコンクリート製の溝、凹。道路や歩道に水が溜まらないようにする排水のための設備。汚れやすく、黒ずんでいる。公園の横にあるものは落ち葉や砂が堆積して使い物にならない。猫にとっては通路にもなる。 「側溝」は道路や歩道の治安維持のためになくてはならないものだけれど、道路みたいに車で走れるわけでもなく、歩道みたいに歩いたりできるわけでもない。直接使うことは無いけれど、脇役的に必要な存在。ずっとそんな認識だった。 しかし、世の中には「側溝」を軽んじることなく、むしろ真

    • 再生

      aquaponics / tanye #0 「7cm」

      水産養殖と水耕栽培を組み合わせることで、肥料や水の交換がいらなくなる省資源で持続可能な農法、アクアポニックス。 1年前の展示、tanye #0 「7cm」で小さなアクアポニックスを制作した。 水産養殖という割に魚はグッピーだし、水槽は100均の防水ケースだし、水耕栽培という割にグリーンリーフ1株だし、プランターはペットボトル(ファンタグレープ)だし、アクアポニックスと呼んでいい代物かわからないけれど、システムとしては成立していた。 グッピーは元気だったし、グリーンリーフも大きくなった。 当時サーキュラーデザインに興味があって、個人レベルでできる実践としてこのアクアポニックスを作ってみた。 材料は身の回りにある物、手に入りやすい物であること、設置場所は日当たりが良いことが重要だった。 展示テーマの「7cm」は展示場所の窓枠の奥行き寸法から決まっている。 窓枠は身近にある場所で日当たりが良い格好の場所だった。

      • ケのしつらえを読み替えることでハレをしつらえる

        先日終了した紐をテーマにした展示「STRING」で試みた展示構成についての覚え書き。 「STRING」は建築家2人にグラフィックデザイナー1人、哲学者1人の計4人で活動しているtanyeというユニットで行った展示だ。制作物の展示構成については空間のデザインを専門としている建築家2人で主に考えた。展示の内容や自身の制作物については別の記事に書いているので、よかったら読んでみてください。 展示構成は作品の為の什器を新たに制作するのではなく、その場にあるものを什器として読み替え

        • 「緊縛模型」制作のための覚え書き

          先日終了した紐をテーマにした展示「STRING」で陳列した製作物についての覚え書き。 今回製作したのは樹脂で固めた綿紐でパーツを作りプラモデルのように組み立てたものだ。紐に形を与えるために身の回りにあるものを縛り、その状態で樹脂を含浸させて固めている。縛ることで形を与えたこととプラモデルのように組み立てたことから「緊縛模型」という名前を付けた。  以下、展示のためのステイトメント プラモデルは好きでたまに作る。玩具屋さんでケースに入った完成品を眺めるのも好きで、行くとつ

          紐を主題にした展示についての覚え書き

          先日、「STRING」と題して、紐をテーマにした展示を行なった。 以下、そのステイトメント。 今回の展示はtanyeというユニットで企画から制作、展示構成までを行った。tanyeには建築家・グラフィックデザイナー・哲学者というメンバーが参加している。普段活動している領域も性格も考えていることも忙しさも皆それぞれバラバラだけれども2年ぐらい継続して活動していて、換金を目的とした活動から離れたところで創造的に遊ぶことを旨としている。 以下、tanyeについてのステイトメント。

          紐を主題にした展示についての覚え書き

          書くことで思考を試行する

          思考を試行するために書く。変な言い回しだけど、試行なのでまぁ気にしない。 文章を書くことを仕事にしているわけでもないし、普段の仕事の中で文章を書く必要がそれほどあるわけでもない(本当はあるのかもしれない)。ポートフォリオとして使っているSNSに投稿するために、今までやった仕事についての文章を少し書くことはあるけれど、それぐらいのもので日常的に文章を書くという習慣がほとんどない。ブログなど書いたこともないし、書こうと思ったこともなかった。 そんな人間だけれども、書くことを始

          書くことで思考を試行する