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再生医療産業で勝ち残る!プラットフォーマーとしての戦い方

前回、「医療を支える!迅速・高感度免疫血清検査薬の必要性」というタイトルで、由風BIOメディカルの体外医薬品開発関連を紹介したので、今回は、再生医療関連事業の事業戦略について紹介します。
 
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由風BIOメディカルでは、現在、イークラウド株式会社の第39号案件として株式投資型クラウドファンディングを公開しています。この記事執筆時点で、目標額の2倍以上(2,330万円)に到達!113人もの投資家様にご支援いただいておりますこと、大変感謝しております。

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■背景

由風BIOメディカルは、臨床医療に用いる再生医療用細胞薬(特定細胞加工物)の製造許可を、2023年10月に厚生労働省から得ました。
 
細胞薬を製造するための工場を「細胞培養加工施設(CPC:Cell Processing Center)と呼ばれ、当社CPCは沖縄県初の大型商用CPCとして各方面から非常に注目されています。事実、国内の名だたる製薬メーカーをはじめ、医療機関関係者、患者様、メディア、省庁(沖縄事務局だけでなく本局からも!)に至るまで、多くに方々が視察に来られています。

細胞培養加工施設の内装(竣工時)

もちろんCPCを整備するだけでは、再生医療事業は成り立たないため、患者様や医療機関様からのニーズに答えるべく、細胞薬のラインナップ拡充にも抜かりなく取り組んでいます。2024年11月に独自技術として上梓予定のものも含め、現在、5種類もの細胞薬を製造できる体制を整えています。
 

■再生医療関連事業の現状課題

「5種類の細胞薬」が多いのか少ないのかというと、国内のCPCではかなり多い部類です。このことは一聞すると良いことのように思われますが、社会的意義やさらなる事業拡大を考えると「短慮にラインナップを拡充していくこと」は必ずしも良策と言えない面があります。
 
例えば、脂肪幹細胞(MSC:脂肪由来間葉系幹細胞)は、整形外科系の治療にも美容系の施術にもニーズの大きい細胞薬で、当社CPCでも扱いのある細胞薬です。しかし、ニーズが大きい分、多くの他社CPCでも製造されており、その需給は十分に賄われています。即ち、当社が積極参入する社会的意義は小さいと言えます。また、どのCPCでも扱いがある分、価格競争が激しく利益率が低い細胞薬です。即ち、事業拡大視点でも旨味が少ないと言えます。
 
沖縄県の立地にも問題があります。もともと当社の再生医療関連事業は、沖縄県内のニーズを満たすためにスタートした事業ですが、県民150万人とインバウンド(医療ツーリズム※YouTubeバナーをクリック※)のみ対象とするのでは事業の成長余力は限られます。では、沖縄県外にも細胞薬を提供するかというと、物流(細胞薬提供に係るリードタイムと流通網の不利)と県外医療機関への営業体制の脆弱さが課題になります。


■課題解決に向けた事業戦略

上記課題を解決するため、昨年末に「特定細胞加工物の移輸出体制拡大」と題する事業計画を策定し、令和6年度・令和7年度の内閣府域外競争力強化促進事業応募したところ、その内容が評価され採択&交付決定に至りました。「移輸出」とは、県内から県外に製品等を販売していくという意味です。

この事業計画のポイントは、各課題に対応した3つの具体的施策を掲げている点にあります。 

  • 施策1:当社独自のエントリー製品を創出すること(営業体制の強化に貢献)

  • 施策2:細胞薬提供に係るリードタイムの大幅短縮と全国的な流通網を構築すること(立地に起因する物流課題の解決に貢献)

  • 施策3:得意領域に基づき細胞薬の選択と集中を図ること(社会的意義付けと価格競争からの脱却に貢献)


■施策1について

非常に重要な施策ですが、この施策の中核である独自製品が上梓直前(2024年11月を予定)のため、商標の取得準備や様々なコンフィデンシャル要素があり、このブログ記事では具体的な説明を割愛します。とはいえ、「この新製品は起爆剤になる」と国内医療商社2社から評価され、再生医療関連事業において彼らとの業務提携とその販売網を活用できることが決まっています。これにより、脆弱だった営業体制が一変し、国内全域にリーチできる医療営業の形が今まさに構築されつつあります。

■施策2について

施策2は、「早い!美味い!」で勝ちにいく戦略です。
 
県外の医療機関に細胞薬を提供しようとする場合、当該医療機関から当社CPCに患者様の検体が送られてくるのに1日、当社CPCから医療機関に細胞薬を送るのに1日と、合計2日間のリードタイムが生じます。これは、沖縄県の立地上仕方のないことですが、2日間の遅れは患者様や医療機関にとって大きなストレスになります。特に、がん免疫再生医療のように「いち早い投与が望まれる細胞薬」の場合、この2日間の差が非常に重要で、当社CPCの競争力を損ねてしまっています。
 
この状況を打開する施策を説明する前に、前提条件としてCPCにおける細胞薬製造の動線を説明します。先ず、患者様の検体を受領して受入検査を実施します。次に、細胞の加工培養を実施します(細胞薬の種類によって製造期間が異なる)。最後に、安全性試験を実施しデータを確認して出荷します。
 
さらっと書きましたが、最後の安全性試験は、再生医療の安全性を確保する上で非常に重要であるため、法律で定められている項目をしっかり時間をかけて評価しなければなりません。一般的な試験項目は、無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験の3項目で、この内、無菌試験に最も時間がかかります(最長2週間)。逆に言えば、この無菌試験を期間短縮できる革新的な独自技術があれば、2日間のリードタイムを挽回できます。

安全性試験のイメージ図

当社では企業間連携を利用して、日本薬局方指定6菌種を数時間で試験できる最新の無菌試験手法を導入済みです。当該6菌種以外を医療機関から求められた場合でも3~4日間であらゆる菌を検出可能な無菌試験手法(契約により内容非開示)も導入済みです。また、現在、あらゆる菌を24時間以内に検出可能な新技術について大手医療機器メーカーと共同研究を実施中です。当然、これらの手法は「手を抜いて試験期間を短縮している」のではなく、グローバルの試験基準であるGLPや日本独自の日本薬局方、及び科学的妥当性と膨大なバックデータを評価して作り上げています。
 
2週間かかる無菌試験を1日で完了できるとなれば、物流に係る2日間の空白期間を考慮しても、沖縄県外の他社CPCに対して12日間もリードタイムで有利になり、当社CPCの競争優位性が跳ね上がることになります。
 
さらに、医療卸国内2大大手の一角であるスズケングループ、株式会社日立製作所、日立グローバルライフソリューションズとの企業間連携により、全国規模で一気通貫の安全安心な流通網を構築するためのプロジェクトを進めています(その第一弾として2024年8月に株式会社スズケン沖縄薬品とプレスリリースを出しています)。

■施策3について

冒頭で述べたように、当社CPCでは、現在、5種類もの細胞薬を取扱っています。「先ず製造受託の仕事を取ってくる!」「そのために患者様や医療機関のあらゆるニーズに対応できるようにする!」という考えに基づいてラインアップを拡充してきましたが、事業フェーズを次に進めるために、次の3年間で緩やかな方針転換を進めていきます。
 
方針転換の具体的な内容は、「オールマイティではなく得意領域に少しずつシフトしていく」というものです。
 
細胞薬は、それぞれに加工&培養に要する期間が異なることから、オールマイティでは、将来、細胞工場の生産歩留まりに課題が生じる(細胞薬製造が高コストになる)ことがシミュレーションによりわかっています。この潜在課題を顕在化させないためには、製造期間の近しい細胞薬のみ扱うようにするか、一定ジャンルの細胞薬にフォーカスするか、何れかを選択しなければなりません。
 
当社は、脂肪由来間葉系幹細胞のように国内何れのCPCでも製造される細胞薬ではなく、当社CPCでしか製造できない(或いは当社CPCが他のCPCよりも高いクオリティで製造できる)細胞薬にフォーカスしていくことを中期計画に盛り込んでいます。これにより、当社CPCの社会的意義を高めるとともに、価格競争からの脱却を狙っています。
 
当社は、体外医薬品(免疫血清検査)開発関連が創業事業であることから、血液系の細胞薬を得意としています。
 
中でも、国内製造を2拠点に絞っている(そのうち1拠点が当社CPC)「NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)」という「がん免疫再生医療」に用いる細胞薬の製造&普及に関し、リソース比重を高めていく方針です。この細胞薬は、独立研究開発法人理化学研究所(理研)の研究成果に端を発し、理研発メディカルサイエンス企業である株式会社理研免疫再生医学が医療技術として高度化した細胞薬で、エビデンスが非常に優れている点に特徴があります。
 
また、RIKEN-NKT®とは別途の案件として、海外で臨床研究が進んでいる血液系の細胞薬に関しても取扱いの協議をはじめており、中長期的にこれらのラインナップを検証していくことで、他社と差別化した独自性のある再生医療関連事業を育てていこうとしています。
 

■最後に

再生医療は細胞工場(細胞培養加工施設)有りきの事業であるため、一般的に推奨されるスモールスタートが難しく、大型投資からスタートせざるを得ないという困難がありました。関連法令や推奨事項も多く、2023年10月の許認可取得まで本当に苦労しました。しかし、行政とのコンセンサスや企業間連携の高まりによって、今まさにこれまでの投資を利益として回収していくフェーズに入りつつあります。
 
日本は世界に先駆けて「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を整備し、いち早く再生医療の「実用化」を成し遂げましたが、まだまだ「産業化」に至っていません。だからこそ市場として大きな成長余力があり、また、だからこそ一つの企業で云々できる業界ではりません。当社は、今後も様々な企業&研究機関と連携し、細胞薬提供のプラットフォーマーとして、再生医療の産業化に貢献していきます!
 

冒頭の繰り返しで恐縮なのですが💦
 
由風BIOメディカルでは、現在、イークラウド株式会社の第39号案件として株式投資型クラウドファンディングを公開しています。この記事執筆時点で、目標額の2倍以上(2,330万円)に到達!113人もの投資家様にご支援いただいておりますこと、大変感謝しております。

由風BIOメディカル 株式投資型クラウドファンディングの代表図

皆様の共感が事業推進の大きな原動力になります。申し込み締め切りの2024/09/25に向け、引き続きの応援をどうぞよろしくお願いいたします。
 
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