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“好き”と秘密を共有する「映画 きみの色」感想

 今日はお休みなので映画を観てきた。
 「映画けいおん!」や「聲の形」を手掛けた山田尚子監督の最新作「きみの色」。映画館で予告を観た時からずっと観に行きたかったアニメーション映画。
 結論、何か劇的な変化や凄いことが起きたわけでもないのに、ずっと泣きそうな気持ちになっていた。私の人生に大切な映画がまた一つ増えました。

全体を通して

 「自分の感覚を大切にすること」
 小さな、些細な、繊細な、微妙な…そんなきらきらを掬い上げてくれる美しい映画だった。嫌な描写が排除された優しい世界観で、キャラクターを掘り下げすぎず魅せる余白のある感じ。日常の延長線上のような。
 だからこそありのままの自分を好きでいたいし、この日々を一瞬を愛していいよな、と思えた。アニメーションも音楽も素敵でライブシーンは「けいおん!」を彷彿とさせる感じもあって「けいおん!」好きの私はめちゃめちゃ高まった。

 自分のやりたいことや生き方、日常に迷いや不安を抱えている人、自分を信じたいと感じている人にぜひ観て欲しい。

好きなシーン

 映画の中で主人公トツ子、きみ、ルイがそれぞれに自分の心の内を打ち明けるシーンがある。好きなものとそれに伴い、自分を偽っていることについて重すぎず淡々とポツリと軽快に語る。
 その時ルイが言ったのが、タイトルにもしたこの言葉。「好きと秘密を共有している」だ。このシーンで私は涙が止まらなくなった。(序盤から既に泣いていたのだが笑)

 「それ変じゃない?」と「あなたらしくて素敵」は同じ出来事が起きた時に出てくる相反する感情や言葉だと思う。物事の捉え方や感じ方が人によって全く違う。私は後者でありたいし、昔からそういう感覚を持っているように思う。みんなが変だと言うことを私はそう思えないことがよくあった。だから箱の中に無理やり押し込まれ、同じ感覚を植え付けられて、違う人は排除されるようなそんな気がして学校がとても苦手だった。でも、その感覚に対する自信はなくて、いつの間にか周りに合わせて自分を偽った。心の声は私から遠のいていって、その後は疲れ果てて高校を退学した過去がある。

 そんな経験から、今は自分の感覚を大切に生きることに重きを置いている。そして自分の好きを大切にして、誰かの好きを知りたいと強く思う。この映画はそんな自分を肯定してくれる世界だった。好きと秘密の共有。誰かにとってそれを共有しても良いかな、と思える存在に私はなっていきたい。

おわりに

 今夜は、私の大好きな兄から送ってもらったお肉で、私の大好きな焼肉をする。
 ただのいつもより少し特別な日が、今日はもっともっと大切にきらきらと光って見える。そんな感覚を与えてくれるのもこの映画の素晴らしさだろう。

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