ドント・ルック・アップ 感想(ネタバレ多分なし)
5段階評価で
・キャスト ☆5
・ストーリー、シナリオ ☆4.5
・構成、演出、映像 ☆5
・音楽 ☆4
・もう一度見たい/見れるか ☆4
総合評価 4.5
今まで見たNetflix制作の映画の中ではダントツで良かった。久しぶりに休憩なしで見れた。
・キャスト ☆5
ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープはぶっちぎりに素晴らしく、ケイト・ブランシェット、ロブ・モーガン、マーク・ライランスらも文句のつけようがない。
ティモシー・シャラメをしっかり見たのはこの作品が始めてだが、素晴らしい存在感とストーリーへの溶け込み方を両立させていて驚いた。
マイ・フェイバリット・ムービー「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でのレオとジョナ、ヒルのコンビが見れたのは個人的に胸アツ。今作の大統領補佐官という役にはややキャラが強すぎてリアリティに欠ける印象ではあったものの、余人を以て替えがたい人物である。
とにかくキャスト陣は豪華さも演技の質も文句なしに☆5である。
・ストーリー、シナリオ ☆4.5
ストーリーは基本的に終末もので、彗星という設定含め特に斬新なものではないと思うが、フィジカルな感性を失ってしまった現代の社会模様とエグゼグティブ達の愚かさが完全に一体化して所謂SFパニックものらしからぬリアリティが出ている点は秀逸であると思う。愚かなエグゼグティブが描かれる時は概してどこか「現実はもっとちゃんとしてますよ」という前提が透けて見えるものだが、この作品は半ばコメディタッチでありながらそうした「あくまでフィクション」という感じがないので、却って薄ら寒い恐怖を感じた。この点は脚本もさることながらキャスト陣の演技力の高さに脱帽である。
・構成、演出、映像 ☆5
タランティーノとボリウッドを煮詰めたようなややドギツ目のロゴやキャプションはハリウッド的なイメージとは随分異なり(実際違うし)、またそれを意図しているようにも見える、時代を感じる事ができる良い演出だと思う。そのポップさが"Long Time Short"的な、ぶった切りなシーン切り替えの演出にも一役買っている。こういった各要素がかみあっていると、見疲れすることなく入り込める。監督のセンスが光る。
・音楽 ☆4
どちらかと言えば音楽の主張は控えめだが、良い意味で音楽でシーンの雰囲気を作りすぎない、固定しない造りはかなり好もしいと感じた(音楽がないシーンも多い)。近年の量産型の打ち込みオーケストラで「はいここ不気味なシーンですよー感しいシーンですよー」な量産型の作品に僕は辟易しているのである。ストーリーやシーンに集中できる、非常に適切な扱いと分量だった。
・もう一度見たい/見れるか ☆4
特に解釈の余地や含みを持たせるような演出はあまりなかったはずなので、もう一度見てストーリー的に新たな発見があったり、10年後に見て全く違う印象を持ったり、という事はないと思うが(その点だけはやや不満と言えるかも知れない)、オーシャンズやゴッドファーザーにもひけを取らないキャスト陣とその演技力と、ストーリー自体は平凡なのに不気味なリアリティを感じさせる秀逸や脚本と設定、統一感はTime to time見返せる価値があるものだと思う次第である。
以上。
2022/Jan24やや文面修正。