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気まずいの、私だけ?

 今日は日差しが心地よくて空気が温かかった。冬が上手に隠れんぼしてる感じ。
 12時40分。外の空気を吸ってから一度玄関へ戻り、着ていた紺色のパーカーを脱ぎ捨てた。今日も今日とてバイト先へ向かう。

 ふと空を見上げると快晴だった。潔く青一色。いつもそこにあるのが普通に思えていたわたあめみたいな白いふわふわした雲が、一つもない。
「公園行きたいなぁ」空を見上げながら呟いて周りを確認する。誰も聞いていないみたい。

 バイト前に空を見上げて何かを感じるほど心に余裕があることがなんだか嬉しかった。

 駅のホームで椅子に座ると、目の前にいつものあの子が浮かんでた。

わたあめみたいなふわふわ


 なんだか可愛いと思って、パシャリ。すると歩いてきた人と目があった。通っていいですよのサインで慌てて携帯を自分の膝の上におろした。気まずい。
 その人は私の目の前を通り過ぎると隣の隣に座った。座るの?きっと「気まずさ」よりも「座りたい」が勝ったのだろう。


 退勤後の帰り道。おもむろにイヤフォンを耳に入れる。次の瞬間「電源オフ」とイヤフォンの設定の女性の声が言った。
 なんでやねん。気まず。

 今日はなんだかそんな日でした。
 それではまたね。

つづく

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