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真田丸第21話について その2

今回も異例の真田丸第21話について その2です😉

「信幸」や「まつ」、「信繁」にとって祖母にあたる「とり」の調子が良くないと、「信幸」は舅の本多忠勝と嫁の「稲」との対面中に「まつ」より呼び出されます。

「とり」は布団に寝かされていて、

薫「昼過ぎまで元気だったもんだから、もうびっくり。私に化粧が濃いなどとお小言があって、今に始まったことではありませんと言い返しましたけどねぇ...」
信幸「ばば様、どうされました?」
とり「あぁ...?」
まつ「耳も遠くなっている...!」 
信幸「これは前からです」

ここ、笑うところです(笑)。確かに信幸の声は前から聞こえにくかったです。でも、前となんか様子がちがうような...? (前はわざと聞こえないふりをしていた感じでしたが、今回は本当に聞こえてないみたいです)

まつ「お食事はとられましたか? 何か持ってこさせましょうか?」

「失礼致しますぅ~♪」
そこへ現れたのは、ついこの間、家康から「稲」を半ば無理矢理「信幸」に嫁に取らされ、泣く泣く離縁、今は信幸やとりの侍女をしている「こう」でした。しかし離縁され気落ちしていると思いきや、何だか妙に生き生きしています😅。どうも「とり」に何か食べるものを持ってくるよう言われていたみたいですね😉。

薫「はば様、お粥が来ましたよ」
とり「すまんのう...」
こう「ばば様の好きな古漬けも、ちゃんとお付けしましたよ😊」
とり「さすが、よう分かっとるなぁ...」
こう「ふふっ、何年お仕えしていると思ってるんですかぁ😊?」

とり (あーん)

こう「甘えてないで、自分でお食べなさい...

おこうさん、こんなこと言うキャラやったんや...😅。前は「おひつ」のしゃもじが力が入らなくて持てなかったくらい病弱キャラだったのに、えらい変わりようです。一体彼女に何があったのでしょうか...!

「とり」めっちゃ残念そうです(笑)

信幸「なんだか申し訳ないな...」

こう「何を仰います。こうしてお近くでお世話できるだけでも、こうは幸せものでございます😊✨」

こう「いやだ、すりごまを忘れた😅。今、持ってきますね♪」

薫「なんだか前より元気になっている...」
とり「古漬けは、うまい...」

なんてことはない、よくあるドラマの1シーンです。しかし、ドラマではぼやかしてますが、「とり」は認知症の初期症状が出てるように思えます。

アルツハイマー型認知症の初期症状

認知症患者の半数以上を占めるアルツハイマー型の認知症は「物忘れ」から始まり、正常と認知症との間にある「軽度認知障害:Mild Cognitive Impairment(MCI)」を経て、軽度の認知症へと進み、さらにゆっくりと進行して行きます。

人の名前や物の名前が出てこない等、年齢の割に物忘れが目立つものの、料理が作れる、身だしなみを整えるなどは問題がなく、つまり社会生活にはまだ支障がない場合を「軽度認知障害」(MCI)と言います。しかし、この状態を放っておくと、この軽度認知障害の方のうち、1年で約12%、4年で約50%がアルツハイマー型認知症に進行すると言われています。

軽度認知障害の診断基準
1.物忘れがひどいという自覚症状があり、他の人からもそれが指摘されている
2.記憶検査で年齢に比し異常な記憶力低下
3.全般的な認知機能は正常
4.運転や家計などの日常生活の能力は保たれている

なお、アルツハイマー型認知症では、初期症状として軽度の人格変化が起こることも多く(例: 頑固になった、自己中心的、怒りっぽくなった、だらしなくなった、人柄に細やかさがなくなった)、また不安・抑うつ症状が出ることもしばしばあります。

「とり」さんの場合はどうなのか?

薫「昼過ぎまで元気だったもんだから、もうびっくり。私に化粧が濃いなどとお小言があって、今に始まったことではありませんと言い返しましたけどねぇ...」
ここですが、薫の化粧が濃いのは今に始まったことではないはずですが(薫さん、すいません 笑)、いつも化粧が濃いことをどうも忘れている風です。これは「物忘れ」の症状です。

とり (あーん)

ここですが、いままでの「とり」さんであれば、食事を誰かに食べさせてもらうということはさせなかったと思います。それは誇り高い武家の女性ですから尚更だと思います。これは、アルツハイマー型認知症の初期症状による性格・人格変化ではなかろうか、と思います。

ここで「こう」が取った行動が秀逸です。

こう「甘えてないで、自分でお食べなさい...

ここです。ここでお粥を口に運んではダメです。見た目、お粥が食べれないほど弱っている訳ではありません。自分で出来ることは極力自分でしてもらう、厳しいようですが、これが真の優しさなのです。そうしないと、アルツハイマー型認知症による性格変化も加わってますから、ますます依存的になり、自分で出来ることをしない=ますます認知症が進む、という悪循環になります。そのうち自分で動くのもおっくうになり、足腰も弱って行き、寝たきりへの道へ繋がって行きます。介護の基本中の基本ですね。

とり「古漬けは、うまい...」

こういう風に見ていくと、真田昌幸に勝るとも劣らない鋭さを見せた「とり」とは思えないほど人柄に細やかさがなくなっています。また、その場の状況が読めなくなっています。

勿論、ドラマですから、視聴者ウケということを考えて、こういう軽妙なシーンを織り交ぜているのですが、「アルツハイマー型認知症の初期症状」という目線で見ると、いくつか合致する点があり、まず間違いなかろうかと思われます。

なお、「まつ」は記憶喪失ですが、「まつ」の場合はある時点より前の記憶が途切れ途切れになっているだけで、ある時点以降の記憶は障害されていませんし、理解力、判断力も普通です。

認知症は記憶力だけでなく、理解力、判断力、時間(季節感も含む)や場所・人間関係の認識力(これらをまとめて見当識と言います)、物事を順序立てて遂行する実行機能(食材の買い出しから始まって料理を作るまでなんか、まさにそれです)も障害され、これらは中核症状と呼ばれ、このため周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。

老化が原因の物忘れは、やったことの一部を忘れる、置き忘れや名前を忘れる、体験の一部を忘れる、物忘れを自覚している、というような特徴がありますが、認知症の場合の物忘れは、やったことを全部忘れる、生活体験の全体を忘れる、物忘れ自体を自覚していない、という特徴があります。

つまりアルツハイマー型認知症では、例えば、約束した内容だけではなく、約束したこと自体を忘れたり、食事の献立ではなく、食事をした体験そのものを忘れてしまうといったことが起こります。これらのもの忘れによって生活に支障が出てきます。また、昔のことよりも新しいことを忘れる、という特徴があります。

また、アルツハイマー型認知症は自分が病気であることを自覚できないという特徴があり、病気のせいで自分が物忘れや置き忘れ、しまい忘れをしているということを自覚が出来ないことが多く、例えば、ひどい物忘れをしているのに、「自分は物忘れをしていない」と言い張ったり、自分で物を置き忘れたのに、置いたことを忘れて「誰かが隠した」、「誰かに盗まれた」などの被害妄想がしばしば見られます。

認知症チェック項目

1.今日の日付が思い出せないことがある。
2.最近の出来事を思い出せない。時間や場所の感覚が不確かになった。
3.同じことを何度も言ったり聞いたりする。
4.物をどこに置いたのか忘れることがある。置き忘れやしまい忘れが目立ってきた。財布などを盗まれたという。
5.前に買ったことを忘れ、同じ物をたびたび買うようになった。
6.ガス栓の締め忘れで鍋を焦がしたり、水道の止め忘れが目立つようになった。
7.物の名前が出てこなくなった。
8.身だしなみを構わず、だらしなくなった。決まった日課をしなくなった。
9.通いなれた道なのに迷うことがある。
10.生活への意欲が低下している。趣味や楽しみに興味や関心がなくなった。
11.引きこもることが多くなった。
12.簡単な計算なのに手間取ったり、間違えたりする。買い物をしたときにお金の計算ができない。
13.使い慣れた道具の使い方が分からなくなった。
14.ささいなことで怒りっぽくなった。

以上のような症状が3つ以上当てはまる場合は、認知症外来の受診を検討された方が良いです。

認知症は早めの対応が重要で、適切な対応と認知症のお薬で進行を止めることはできませんが、徘徊や興奮などの周辺症状を抑えたり、認知症の進行を遅らせることは可能です。症状が進んでしまってから認知症の対応や薬を使っても効果が薄いことが多いです(効果がないわけではありませんが)。

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