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孤独と存在について

メモ:孤独と存在について。
ここにいる私と、そこにいるあなたと。
:帽子屋、帽子屋、どこにも行かないで。私と一緒にいて。いつでも会いに来ていいというけれど、私は、私が独りきりでいなければならない寂しい自由などいらない。どこにも行かないで、私と一緒にいて。ねえ、そうしてよ。
帽子屋:愛しいあなた、落ち着いてごらん。可哀想に、震えて、思い詰めて。孤独に気がついて怯えているの?
:こんなのって、真っ平御免だわ。どこにも行かないで、一緒にいてよ、ねえ。
帽子屋:ひとりきりの孤独に気がついたなら、落ち着いてよく聞くんだよ。
あなたが寂しくて、孤独なんだったら、それは、あなたがあなたの存在に気がついたってことだ。やあ、初めまして、愛しいあなた。
今、あなたは、どうしようもなくあなた自身だ。今、あなたは、れっきとしたあなた自身として私と出会っている。
:帽子屋。そんなの、私はちっとも嬉しくない。
帽子屋:私がここにいて、私の目の前、そこにあなたがいる。こんなに素敵なことってあるだろうか。私は私の自由でどこにでも行く。そうすると、私は私のいるところにいて、あなたはあなたのいるところにいる。つまり。私はここにいて、あなたはそこにいるってわけだ。どんなに近くにいても、どんなに離れていても、私はここ、あなたはそこ。
・・・・・・・さあ、蝦蟇が新しいお茶を入れてくれたよ。とても良い香りだ。
ここにいる私と、そこにいるあなたとで、このひとときに一緒にお茶を楽しもうじゃないか。

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