やる気がない新人への関わり
2022.5.18 【Nラジ】仕事にやる気がないように見える新人への関わり方
文字起こしver.
今日はですね、公式LINEで相談をいただいたテーマが、非常に興味深いので、Nラジのテーマに取り上げたいと思います。
Nバクは、各種SNSの中でも公式LINEの相談内容を一番タイムリーにチェックしています。
LINEでは、クローズな一対一のやりとりでお答えできますし、そこそこ深い内容を語ることもできるので、いろんな相談を日々いただくんですが、テーマとしてみなさんにお話したり、深ぼって考えてみると面白いぁと思うものに関しては、どんどん取り上げていきたいと思います。
今日のテーマは、
「やる気がないように見える新人」との関わり方です。
やる気がない「ように見える」というところがポイントなんですが、
みなさんの周りに、
・自分から動かない指示待ちの人
・なかなか仕事を覚えない人
・言われたことはやるけど、それ以上の+αを絶対にやらない人
・私、お給料以上の仕事はしませんから、みたいな人
仕事に対するやる気とかモチベーションが足りない「ように見える」人、いませんか?
「お給料以上の仕事をしません」と宣言する人に関しては、例えば人を一人雇うために経営者が支払ってるお金って、お給料として渡している20万円とか30万円だけじゃないですよね。
いろんな経費とか、保険料とかを含めると、だいたい自分が受け取ってるお給料の3倍くらいの利益をその組織にもたらしていないと、その人を雇ってるだけで赤字になる、というお話もあります。
なので、「給料分しか働かない」なんて、みんながそういう事を言い出すと、どんな会社でもすぐに潰れてしまいます。
ただこれは、「給料分以上は絶対働いてやるもんか」と思わせてしまっている組織、そして管理職や経営者にも大いに問題があるので、一概にスタッフの「やる気」だけのお話では片付かないと思います。
お金のこと以外でもですね、もっともっと日常的に見られる「やる気がないように見えるスタッフ」のお話をすると
■「事前にこういうことを調べておいてね」と言ったのに、確認してみたら「まだ調べてません」という後輩
■「これに目を通しておいてね」と言われたマニュアルに、目を通していない人
■懇切丁寧に説明しているのにメモをしない、記憶しない、当然実践できない、とかですね。
こういうことが、新人指導とか若手教育をしていると、本当によくあるわけです。
このNラジを聞いていただいているのは新人や若手の方が多いのか、先輩方が多いのかというと圧倒的に先輩方なんですが、一応どちらも聞いていただいている前提で解説していくと、
まず先輩達は、
「なぜこれを調べておいてって具体的に伝えたのに調べてこないの?」と、疑問に思ったり、モヤモヤする
マニュアルに目を通しておくように事前に伝えたのに「読んでません」って何ごと?と思う
説明した内容を綺麗さっぱり忘れ去られてしまうと、心が折れてしまうんですね。
ただ、新人の立場に立ってみるとこれは、やる気がないわけではない。
ごく一部には、仕事なんて適当にやってプライベートで遊ぶお金を稼げばいいや〜と考える人はいるし、何度同じことを説明されても改善してやるもんか、と心に決めているような人もいるかもしれませんが、
ほとんどの人は、せっかくその職場に入って毎日そこで働くなら、ちゃんと仕事を覚えたいと思ってるし、頑張りたいし評価されたいし、自信もつけたいはずなんです。
それなのに「調べていません」「マニュアル読んでません」「メモし忘れました」の三種盛りを先輩達にお見舞いしてしまう時がある。
一部の、本気でやる気がない人は一旦脇に置いておくと、やる気はあるんだけど、なぜか先輩達に「やる気がないのでは・・・?」と思わせてしまうこの状況、双方にとってとてもストレスなんです。
後輩は後輩で、自分なりに一生懸命なのにそれが先輩に伝わっていないし、先輩は、なんでこんなに一生懸命やってるのにこの後輩はこんなレスポンスなんだ!と絶望してしまう。
双方のエネルギーが一生交わらないまま、どちらも疲れていくんです。
まぁ、時が経てば自然に仕事にも慣れていくし、何年か経てばもちろん仕事はできるようになっていくんですが、それまでに新人側が潰れてしまっては元も子もないし、先輩側が指導のやる気をなくしてしまったら、先輩後輩の関係も良好に保たれないですよね。
ここでの争点は、「やる気があるのにやる気がないように見える人」
もしくは「やる気がないわけじゃないのに、行動につながらない人」
こういう人たちとどう関わればいいのか。
これについてNバク的見解を述べたいと思います。
まずこれだけは申し上げたい、という結論から申し上げると、
「やる気がなさそうに見える人=やる気がない人とは限らない」ということです。
一見行動に現れていないので、主体性がない・責任感がない・不真面目な人だ、と思ってしまいがちなんですが、これは表面的に現れている相手の言動をみて、あくまでこちらが「やる気なさそう」だと受け取っているだけなので、本当にやる気がない人とは限りません。
何が言いたいかと言うと、先輩が「当たり前」だと感じることをやってこないとか、最低限の指示されたことだけをやって、それが終わるとまた何もせず棒立ちを決め込むとか、アドバイスしてもきちんと受け止めてくれていないとかね。
周りから見ると本当にやる気がないように映るし、仕事にまったく興味も関心もないんじゃないか、そんなふうに感じます。
ただ、この人たちが本当に仕事に興味がないのか、仕事を覚えたいと思ってないのか、先輩の言うことを適当に聞いているのかというと、必ずしもそうじゃないと私は思うわけです。
じゃあ何が起こっているのかと言うと、
すでに目の前の仕事や覚えるべきこと、さっき先輩に言われたことなど、毎日受け取る情報量やこなすべき業務に翻弄されていて、毎日毎分毎秒、脳内のメモリを使い切ってるんですよね。毎日MAXで仕事をしている。
先輩達からするとそんな風に見えなくても、慣れない業務、初めて関わる人、自信のない作業、これらをミスなく、ぬかりなくやり切ろうと取り組むだけでも、毎日がキャパオーバーなんですね。
その上で「あのこと調べといてね」と言われる。
「このマニュアルに目を通してわからないことがあれば質問してね」と言われる。
「困った時はちゃんと声かけて」なんて言われても、もう今その瞬間に困ってます、的なことなんです。
先輩達に比べると、新人達はもう「デフォルトでピンチ」なので、「困った時に質問する」のジャッジすらままならない。
その上で、「こないだ言ってたあれ、調べてきた?」みたいなキラーパスが飛んできて、
あ、その・・・まだです・・・みたいになる。
これ、やる気がないんじゃなくて、余裕がないんです。
目の前のことをただ乗り切るのに精一杯で、プラスαをこなす余力なんて微塵もない。
だから、少しでも間ができたタイミングで、ちょっとぼーっとしてしまう。
先に先輩に声をかけられて何かに気づく。
予習ができない、復習ができない、段取りが組めない、優先順位がつけられない。
これはやる気不足ではなくて、脳内メモリの容量不足の問題なのではないか。
と、私は思っているわけです。
私の実体験をお話しすると、過去に、2年目のスタッフに質問されたことがあります。
「なんであんなに忙しい業務をしながら、私の仕事の進捗も見てくれて、他職種の人とも会話しながら、いろんなところに目があるような動きができるんですか?後ろに目がついてるんですか?」
って。
それに対して私はこう答えました。
「自分の業務を進めるのに、ほとんど脳内メモリを使っていないからだよ」
結構優しく答えたのに、「は?何言ってんのこいつ」みたいな反応を返されたので、ちょっと言葉が足りなかったと思って反省して、どういうことかを説明したんですが、
先輩達は、日常業務をこなすことに、そこまでの恐怖心とか不安な思いを抱えていない。
歯を磨くように血圧を測るし、お湯を沸かすかのように点滴をつくる。
ちょっと複雑な業務でも、集中こそしても、それで脳内メモリがいっぱいになるような状況にはならないんですね。
でも、新人や若手と呼ばれる人たちは、今目の前の業務を安全に、ぬかりなくやることだけで、脳内メモリを使い切ります。要は、朝8時から夕方5時まで、ずっと緊張しているような状態で仕事をしている。
先輩方どうでしょう、1日のうちガチガチに緊張しながら仕事をする瞬間って、何分くらいありますか?
一瞬集中力を高めてすぐに抜く、この10分は注意するけど、その次の20分は抜く、という、緩急のつけ方がわかっているのが先輩達ですが、業務をまだ覚えていない新人達は、たいていがずっと緩急の「急」の状態を維持しているわけですね。
この状態の人たちに、先輩達は色々と求めます。
■自分から声かけてくるべき
■わからないことは自ら質問するべき
■自分が携わる領域の勉強なんて、言われなくても進めておくべき
■先輩がしている雑用仕事を「私がやりますよ!」と引き取るべき
みたいな。
そんな私も先週の動画でいいました。
いい先輩からいい影響を受けるためには、そのいい先輩が率先してやっているような仕事を自分も手伝ってみるといいよ、って。
そんな無理難題を言いがちなNバクですが、要するにですね。
話を着地させると、先輩から見てやる気がないように見える人というのは、先輩が思っている以上にキャパオーバーしている可能性があるので、その余裕のなさをどうケアしていくか、これを検討してみてもいいんじゃないか、ということです。
キャパオーバーしているからこそ、自分の与えられた業務以上のことはできないし、与えられたことすら完了できなかったりもする。
人の手伝いや雑用に無関心だったりもする。
予習や復習を守備よく進めるなんて、そんな余裕は1ミクロンもない。
帰ったらバタンキューなんです。
こういうことを言うと、先輩達は「そんなたいした仕事量を任せているわけではないのに!」って思うんです。
Nバク動画で言っているみたいな無理難題、私たちは求めてないし!って、みなさん思いますよね。
「最低限のことすらできていないからモヤモヤするんです!」っていうね。
この気持ちもものすごくわかるんですが、先輩達の脳内メモリは後輩にくらべて、経験と共にものすごく拡大しているし、後輩達の脳内メモリは私たちが想像するよりはるかに小さい。
これは、新人や若手の人たちを馬鹿にしているわけでも先輩をあがめているわけでもなくて、私は新人愛護団体の会員ではないので、あくまでリアル・現実的なお話です。
私は先ほど、普通に後輩のフォローをしながら自分の業務をしているだけで、「後ろにも目がある」と言われた、とお話しました。
私はこの言葉を聞いて、いかに自分たちが無意識領域でできる業務を増やしてきているのか。これを自覚したし、脳内メモリの消費を最小限に仕事を進めるスキル、これを高めていくことがプロになっていくことだと思ったんですね。
新人達が、今はガチガチに意識してやっていることを、すこしでも無意識にできるようにサポートしなければ、とも思ったんですね。
私はサックスプレイヤーとしての顔もありますが、これはサックスを吹いていても同じです。
意識して、ここのフレーズが間違いやすいから集中!と思って演奏しているうちは、プロのパフォーマンスなんて全然できないし、お客さんの顔なんて見れやしない。
意識して、集中しないと出せないパフォーマンスを、いかに呼吸をするように出せるよう習得するか。これが、医療現場においても音楽ライブのステージの上でも同じように求められる、鍛錬の部分なんだと、そんなふうに思います。
だからこそ、少しでも経験を積んでいる先輩達はプロとして無意識領域で仕事をしながら、意識してガチガチになっている後輩達の余裕のなさをケアする側にまわりたいんです。
やる気のなさを嘆くより、脳内メモリ不足をサポートするほうが、双方のストレスが軽減されるんじゃないかと思うわけです。
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というわけで本日は、やる気がないように見える人にどう関わるか、というテーマでお話してきました。
結論としては、やる気がないように見えても、やる気がない人物、というわけではないということ。
中には本気でやる気がないタイプもいますが、そっちの方が少数派なので、一旦は、「やる気があるのに先輩が求める行動につながらない」と仮定して話を進めてまいりました。
対処法としては、思いのほか新人や若手達は、先輩達が想像もつかないタイミングで脳内メモリを使い切っているし、キャパオーバーを起こしていることがあるので、その余裕がない状況から抜け出すためのサポートをしていきたいと。
少しでも余裕がありそうなタイミングを見計らって、こちらから声をかけてみたり。
わからないことを質問してもらうんじゃなくて、わからないことは何なのかをこっちが見抜いてみたり。
そんなサポートをやっていくだけでも、相手の成長速度を上げられるんじゃないかと。そんなふうに考えております。
今週の土曜日(5月21日)には、「教えるのが苦手」というテーマで動画をあげるので、新人指導とか教育とかに、どちらかというと苦手意識をもっている、という方は、もしよかったらそちらの動画も見て見てください。
明日も明後日も、お互い元気にお仕事頑張っていきましょう。
私もがんばります。
ここまでのお相手は、Nバクでした。
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